転職で壁にぶつかった「34歳・元期待の若手」の顛末 何もかも違う異業界で苦闘、再確認した大切な物

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そして、翌2022年。「地域を知る人間として、今後は宿泊事業と海に関係する事業を自分の人生の軸にして生きていきたい」との思いを胸に、LIFULLに復職。現在は、LivingAnywhere Commons事業の事業推進を担当している。正社員を中心とした、10名弱の事業部だ。

出戻り転職が与えてくれた気づき

出戻り転職は、鈴木さんにとってさまざまな気づきを与えてくれたという。

「まず、最初の転職機会を通じて『自分はゲタを履かせてもらって仕事をしていた』ということに気づきました。会社が仕組み化されていて、ちゃんと成果が出るようになっていたんだなって。ネガティブな意味ではなく、支えてくれる周囲のすべての人に、感謝の気持ちを持てるようになったんです。

その一方で、強みを持つこともできました。それは『事業会社からNPOへ行き、ソーシャルセクターから事業会社に戻ってきた』という、少しだけ珍しいキャリア形成をしたことです。地域の中で事業をし、多くの人と関わってきた経験は、今取り組んでいるコミュニティ型コリビングサービスの事業にも生きています。必死に取り組んだ7年でしたが、経験は血肉になって、LIFULLに少しではありますが、還元できていると思います」

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筆者はフリーランス人事として多くのビジネスパーソンの転職に接しているが、仕事で成果を出す要因は必ずしも1つではない。

ある会社でトップクラスの成績を残していた人が、転職先で思ったように成果が出せないという話は決して珍しくないし、反対に環境を変えたことにより大きく飛躍する人もいる。積み重ねてきた経験や苦労、本人が持つ能力、役職や期待される役割、同僚や上司など周囲の人々の支え、会社の仕組み、本人とその仕事の相性、さまざまな要因がある。

だが、1つ確実に言えるのは、「人とのつながりを大切にしてきたからこそ、辿り着ける成果」が存在する、ということだろう。人との関係性を大切にし、転職後も、多くの元同僚たち・仲間たちと関わってきた鈴木さん。そんな彼がコミュニティ型コリビングサービスの事業に取り組んでいるのは、ある意味必然なのかもしれない。

本連載「戻りたくなる組織の作り方」では、出戻り転職を経験した方からの体験談をお待ちしております。実名・匿名を問いません。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。
桐山 奈々 フリーランス人事

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きりやま なな / Nana Kiriyama

広告IT業界で人事を経験し、2017年よりフリーランスとして活動。東京の企業を中心に、経営者や人事部に対して、組織構築・人材採用の支援を行なう。

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