40代や50代で「人生が楽しくない人」の共通点 「チャッター」への気づきが自己価値の軸となる

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例えば、一般的に言われる「やる気が出た」というのは気分の話も含まれますよね。雨が降っているから気分が悪い。でもそれは、メンタルが弱いわけではありませんよね。

メンタルが強い、弱いという表現がありますが、例えば「メンタルタフネス」や「レジリエンス」の研究から説明するとすれば、メンタルが強い人とは、「自分の感情や思考に気づくことで自分の判断軸を作り、その基準に従って、ストレスの対処種類を増やし、自分の行動継続をできている人」ということになるでしょう。

一度作ったら「はい、出来上がり」ということではなく、常に自分の判断力のトレーニング方法を知っていることで、社会の変化や自分の変化に伴って、自己変化をし続けられる人です。それらの要素を含んでいることが、メンタルのトレーニングです。

まずはチャッターに気づくこと

私が行う企業研修で、チャッター(頭の中のひとりごと)に気づいたことがないという参加者もいる時は、まずチャッターを作り出すことからはじめます。日記を書いてもらったりすると、「私、いろんなチャッターを言っていますね」と気づきます。

『Chatter(チャッター)』では、チャッターに気づかない状態をどうするかという点に触れられていませんが、それは、アメリカでは書く必要がないからなのか、このあたりは著者に伺ってみたい疑問です。

田中ウルヴェ京氏
スポーツ心理学者で五輪メダリストの田中ウルヴェ京氏(写真:所属事務所提供)

私自身は小さい頃から「自分との対話(セルフトーク)」をやっていた子供で、選手時代もチャッターに振り回されることは多く、セルフトークに変えていくことの重要性は、日記を書くことを通して痛感していました。

ですから、競技引退後、アメリカの大学院でもチャッターコントロールについて学び、その必要性を感じていたのですが、2000年初めに、日本に戻ってセルフトークについての企業研修を行った時に、「ひとりごとなんてしたことない」という方々がとても多かったことに衝撃を受けました。

その後の20年間で、新入社員研修をさまざまな企業でやっていますが、コロナ禍になるまでは、「ひとりごとをしたことがない」という人が決して少なくない人数で一定数いました。

なぜそうなのかは、自分自身、研究対象として興味がありますが、まずは「頭の中のひとりごとは誰にでもありうることで、そのことが無意識にあなたを悩ませている可能性はある。だから、まずはひとりごとがあることを前提に“自分に気づく”ことを意識していきましょう」というところからはじめたりしています。

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