ユニゾ倒産劇、地銀が背負った深入りの「代償」 借入金は地銀やJAバンクなど約50行に分散
なぜ、このような構成になったのか。背景にはユニゾの「みずほ離れ」戦略がある。
ユニゾの地銀開拓はトップダウンで進められた。EBOが実施される2020年6月まで社長を務めていた小崎哲資氏は、ユニゾの源流である興銀出身だ。2009年にはみずほフィナンシャルグループの副社長にまで上り詰めたが、社長レースに敗北し2010年にユニゾへと転籍した過去を持つ。
ユニゾのメインバンクは長らくみずほ銀行だったが、小崎氏時代に「喧嘩別れ」(みずほ幹部)した。資金面での縁を切り、地銀などへの借り換えを進めた。ユニゾの元社員は「財務部に対して地銀との取引数増加がノルマとして与えられた」と打ち明ける。
当の地銀は「ユニゾはみずほ系の企業で、メインバンクをみずほが務めているから大丈夫だろうと思い、融資を増やしてしまった」(ある地銀幹部)と悔やむ。実質的なメインバンクが存在しない、いびつな債権者構成はこうして出来上がった。
1年前からスポンサー探しに奔走
ユニゾ向け債権を有するある地銀幹部は、「この1、2年は表立った動きがなく、今回の破綻は正直サプライズだった」と話す。だが、ユニゾの破綻は決して突然死ではなかった。
債権者向け資料によれば、ユニゾは2022年初めからスポンサーを探していた。私的整理を念頭に10社程度と交渉したが、ユニゾに手を差し伸べる企業は現れなかった。
ユニゾは2023年2月にアドバイザーにKPMG FASを選任。ホテル事業を展開、あるいは新規参入に意欲を示し、意思決定が迅速なオーナー企業に焦点を定めた。国内の不動産会社やホテル運営会社、ノンバンクなどに買収を持ちかけ、一部の企業とは守秘義務契約の締結まで至るも、支援は見送られた。
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