ユニゾ倒産劇、地銀が背負った深入りの「代償」 借入金は地銀やJAバンクなど約50行に分散

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3月に入り、資金繰りに窮したユニゾはスポンサー候補を投資ファンドにも広げ、民事再生法の適用を申請した4月26日にホテルや観光業への投資実績のある日本産業推進機構(NSSK)と基本合意書を締結。6月にもNSSKと正式にスポンサー契約を結び、経営再建に向けて動き出す。

ユニゾの財務状況は金融機関も把握できていたはずだ。ユニゾが倒産に至るまでの金融機関のモニタリングや対応が適切だったか、再考の余地は残る。

リスクはまだ残っている

ほとんどの金融機関は、債権が引き当てや担保により保全されているというが、これで損失が一巡したという保証はない。

1つは、HD子会社であるユニゾ不動産及びユニゾホテルへの融資だ。金融機関が引き当てた債権はあくまでHD向けであり、2社への債権には大幅な引き当てを行っていないところもあるようだ。

子会社向けの債権を有する地銀幹部は「HDを建て直すには、子会社の財務体質も議題に挙がるだろう。債権放棄は飲めないが、条件変更程度は覚悟しないといけない」と話す。

一部の金融機関が担保に設定しているユニゾのオフィスビルやホテルの扱いも容易ではない。一般的に、担保権は民事再生手続とは関係なく行使できるが、思惑通りに実行できるかは不透明だ。2~4番抵当まで打たれている物件も多く、売却までこぎつけたとしても後順位の金融機関は十分な弁済が受けられない可能性がある。

再生計画は年内にも策定される方針だ。再建の可否に神経を尖らせるのはユニゾだけでなく、金融機関も同様だ。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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