今の金融不安はリーマンショックと何が違うのか シリコンバレー銀破綻、クレディ・スイス危機の本質
この3月、世界はリーマンショック以来ともいえる「金融不安」に見舞われた。銀行の「流動性」が突然失われて現金不足となり、預金者の払い戻しに対応できなくなる銀行が現れたのだ。実際に、アメリカでは2行が相次いで破綻することになった。
しかし、今回の銀行破綻にはもうひとつの要素が潜んでいる。その背景に「Twitter」などの「SNS」が少なからず関係した、新しい時代の金融システム危機との見方がある。
中央銀行や財務省などの金融当局の素早い対応があったこともあり、現時点(3月27日)で表面的に金融市場は落ち着いたかのようにみえる。コロナバブルのツケが表面化したともいわれる今回の金融不安は、まだ氷山の一角なのかもしれない。欧米を襲った金融不安の背景と日本への影響を考える。
相次ぐ金融破綻の背景にSNS?
3月10日に起きたアメリカで第16位の中堅銀行「シリコンバレー銀行(以下、SVB)」の破綻から始まった金融機関の経営危機は、その後瞬く間に欧州にも飛び火し、世界的に金融不安が拡大してしまった。金融不安が表面化した順に簡単に紹介しておこう。
シリコンバレー銀行=SVBファイナンシャル・グループの総資産は、2020年には1160億ドルだったのが、翌2021年末には2110億ドルに達している。わずか1年で急激に成長した銀行だが、その名が示すようにスタートアップ企業などベンチャーキャピタル向け融資を中心に急成長した銀行だ。今回、そのSVBがアメリカ史上2番目に大きな銀行破綻となった。
SVBの預金の90%近くは無保険状態であったと報道されているが、経営破綻の発端となったのは中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)の急激な利上げだといわれる。利上げによって、保有する債券の価格が急落し預金引き出しに対応するために、下落した債券の売却に追い込まれてしまう。
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