京都銀行VS英ファンド、終わらない「還元戦争」 シルチェスターが2年連続で特別配当を要求

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京都銀行の看板
京都銀行は資本政策を見直してきたが、納得は得られなかった(記者撮影)

イギリスの投資ファンド、シルチェスター・インターナショナル・インベスターズは4月26日、京都銀行に対して株主提案を行う方針を明らかにした。4月30日までに、6月の定時株主総会に向けた提案書を会社側へ提出する。

シルチェスターによる京都銀行への株主提案は2度目だ。2022年の定時株主総会でも特別配当を求めたが否決に終わっている。リベンジとなる今年は1株あたり62円の特別配当に加えて、発行済み株式の1%にあたる、上限50億円の自己株取得も要求する構えだ。

京都銀行の広報担当者は「シルチェスターが株主提案の意向を表明したことは承知している。ただ、提案をまだ受領していないためコメントは控える」としている。1年に渡るつばぜり合いを経て、両社はまたも株主総会で衝突することになった。

16年目の「豹変」

最初にシルチェスターが京都銀行の株式を取得したのは2006年9月。15年以上の間、株主提案を行ったことは一度もなく、どちらかと言えば穏健な株主とみなされていた。

牙を剥いたのは2022年4月だった。シルチェスターは1株当たり100円という会社側の配当計画にかみつき、別途132円の特別配当を求めると表明。地方銀行関係者を一様に驚かせた。

豹変の背景には運用体制の変更があったという指摘もあるが、シルチェスターは「会社との対話はこれまでも行ってきたが、われわれの要望が理解されなかった」と、しびれを切らしたという。

シルチェスターが問題視したのは、京都銀行の利益構造だ。任天堂やニデック(旧日本電産)、京セラ、村田製作所といった京都企業の株式を保有しており、それらが莫大な配当金をもたらしている。当時のシルチェスターの書簡によれば、2021年3月期の純利益169億円に対して、保有株式の配当金は173億円もあった。逆に、融資やコンサルティングといった本業は赤字だった。

そこでシルチェスターは「コアの銀行業務からの純利益の50%」、および「保有株式から受け取る年間配当金の100%」を配当に回すことを求めた。シルチェスターは「受取配当金を盾にごまかしをするのではなく、コアの銀行業務の収益性改善に確実に注力させる」案だと胸を張った。

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