京都銀行VS英ファンド、終わらない「還元戦争」 シルチェスターが2年連続で特別配当を要求
京都銀行は当時、2021年末に総還元性向50%程度という地銀最高水準の還元方針を策定したばかりだった。2022年1月に4年ぶりとなる自己株取得も発表していた。そんな中で受けたシルチェスターの提案を「地域金融機関である当行の特徴を考慮しない、短期的な視点に立脚したもの」と断じた。すると、シルチェスターは「(京都銀行の説明は)認識の甘さと財務的洞察力の欠如を示すもの」と反発。両社の対立は決定的となった。
結局、2022年6月の定時株主総会では、シルチェスターの株主提案への賛成率は25%にとどまった。だが、これでシルチェスターが諦めると見る向きは少なかった。
株を買い増し臨戦態勢
「これは来年も仕掛けるな」。地銀関係者の間では、2023年も京都銀行が株主提案を受領するという見方が早くから広がっていた。総会後、シルチェスターは京都銀行の株を買い進めていたからだ。
シルチェスターは2022年、京都銀行のほかに岩手、滋賀、中国(現ちゅうぎんフィナンシャルグループ)の3行にも同様の株主提案を行っていた。しかし、株を買い増したのは京都銀行のみ。他3行はむしろ保有比率を引き下げている。
対する京都銀行は、提案を受けた危機感もあってか、さらなる還元強化に踏み込んだ。2023年1月には2年連続となる自己株取得の実施を発表し、3月に策定した中期経営計画では総還元性向を「50%程度」から「50%以上」へと引き上げた。2024年3月期の総還元性向は60%超となる見通しだ。リスク資産への投資や還元強化による自己資本比率の縮減など、過去の中計では見られなかった資本政策も掲げた。
だが、シルチェスターは納得しなかった。「資本配分政策の変更を発表しない限り、株主総会において議案を提出する」。3月下旬、シルチェスターは京都銀行に書簡を送付した。やり玉に挙げたのはROE(自己資本利益率)とPBR(株価純資産倍率)だ。
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