「奨学金380万」45歳彼女が語るロスジェネの苦悩 田舎の男尊女卑と、不景気に苦しめられてきた

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SE、プログラマー、そして総合商社という経歴だけを見ると、振り幅の大きいキャリアのようにも思われるかもしれないが、「結局、プログラム、統計、分析というのは、昔からずっとやってきたことで、それをパソコンでやるのか、エクセルでやるのか、それともプログラミングソフトを使うのかという変化はありましたが、やっていること自体は変わってない」という。

きれい事だけでは生き抜けない人生だからこそ

そして、幼少期のこんな原風景を話してくれた。

奨学金、借りたら人生こうなった (扶桑社新書)
本連載が書籍になりました。珠玉のライフストーリー14編を抜粋のほか、書き下ろし約100ページでお届けします(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。アマゾンはこちら。楽天サイトはこちら

「わたしは小学校に入る前からセミ捕りが好きで、毎年セミを捕り続けていたんです。毎年、セミを10匹捕まえたら、9匹がアブラゼミで、クマゼミは1匹しかいなかったのですが、3~4年生頃にその割合が変わってきたんです。そこから、『その年のセミの数』を定点観測するようになって。我ながら、変わった女の子ですよね(笑)。

でも、その頃から『調べる癖』はずっとあったんですよね。今の仕事でも、この時に胸に抱いた感情や経験は、十分に活きていると思います」

考えてみれば「大学進学のため」に「高校を選んだ」植田さん。現実を見て、分析する能力は、その時からすでにあったのだろう。

奨学金を借りながら、大学院まで進んだ彼女は「聡明」なことは間違いないが、ただ、その一方で「女性ゆえ」「田舎出身ゆえ」「ロスジェネ世代ゆえ」の、さまざまな壁が立ちはだかったことも、忘れてはならない。

きれい事だけでは生き抜けない人生だからこそ、自分を諦めず、自己投資し続ける大切さを改めて思い知らされたライフストーリーだった。

本連載「奨学金借りたら人生こうなった」では、奨学金を返済している/返済した方からの体験談をお待ちしております。お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。奨学金を借りている/給付を受けている最中の現役の学生の方からの応募や、大学で奨学金に関する業務に関わっていた方からの取材依頼も歓迎します。
奨学金借りたら人生こうなった
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千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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