Apple Watch、使ってみてわかったこと 使い始めて4日目に訪れた驚きの"変化"

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こういう体感できる通知システムが浸透すれば、ウエアラブル端末も見かけ倒しのアクセサリー商品ではなくなる可能性がある。Apple Watchは兄弟分のスマホとはまた別な深い変化を世の中にもたらすかもしれない。ただし今のところはまだ新規デバイスゆえに厳しい現実が立ちはだかる。決して手首にiPhoneをはめたようなものではないからだ。

設定に手こずった

まず入力の仕組みが違う。画面のスクロールやズームには側面の「デジタルクラウン」つまり竜頭(りゅうず)を用いる。タッチスクリーンの画面を強めに押すと、そのほかの用途が広がる。だが画面にキーボードは現れず、送信メッセージには出来合いの定型文か絵文字を使う。もしも相手方もApple Watchなら、画面に指で描いたものや、タップしてその感触を伝えることも可能だ。

使い心地に満足できるよう、通知の設定は大切だ。始終Apple Watchに適さない情報まで通知させることはない。たとえばFacebookの近況更新、Snapchatのメッセージ、社内キッチンのおやつ情報など。それにしても通知の設定にはえらく手間がかかる。私は相当てこずった。

そのほかの問題点として、今のところ第三者のアプリはたいがい使えない。私の場合、配車サービスUberのアプリはロードできなかった。ツイッターは混乱し、Starwoodホテルのアプリはなぜか削除され、再インストールしてもハングアップした。それでもついにマンハッタンのホテル客室のドアにApple Watchで触れて解錠、ということが実現できた。ニューヨーク市内でタクシー料金の支払い、食料品スーパーWhole Foodsでの支払い、空港警備員への搭乗券提示も出来た。そんな風にうまくいくと、まるで手首に魔法の鍵を付けているような気分になる。

Apple Watchのすごいところは、これまでに試してみたどのスマートウォッチとも違い、私自身がこれで強化されたと感じたことにある。世界中のデジタル情報すべてをパソコンに伝えたのはGoogle、それをどこにでも持ち歩けるようにしたのはiPhone、そしてApple Watchはデジタル世界を肌身に感じさせるものだと言えよう。慣れるまでひとしきり時間はかかるが、使いこなせるようになったら、もうこれなしには暮らせない。

ニューヨーク・タイムズはApple Watchのために「ワン・センテンス記事」を提供することを発表した。だから私もこのレビューの締めくくりに、ちょうど画面サイズの一言を記したい。

「最初のApple Watchはあなた向けでないかもしれないが、いつか近いうちにあなたの世界を変えるだろう」

(執筆:Farhad Manjoo、翻訳:石川眞弓)

(c) 2015 New York Times News Service

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