「喉」と一口に言っても実は奥が深く、口を開けて見えるところだけにとどまらない。その構造は少々、複雑だ(イラスト参照)。
喉は、鼻の奥から食道に至るまでの、食べ物や空気の通り道である咽頭(いんとう)と、咽頭と気管をつなぐ喉頭(こうとう)がある。咽頭はさらに上から上咽頭、中咽頭、下咽頭に分けられる。
上咽頭は鼻の奥の突き当たりにあり、目では見えない。その下の中咽頭はのどちんこ(口蓋垂:こうがいすい)を含む、私たちが口を開けたときに見える部分、さらにその下に下咽頭がある。喉頭はそれよりもっと下、のどぼとけの付近にあり、左右一対の声帯を持っている。
喉の痛みで疑われる病気
櫻井さんによれば、「喉の働きは主に『呼吸する』『食べる』『声を出す』の3つ。喉の病気になると、これらの働きに問題が起こってきます。なお、代表的な喉の病気による症状として、『喉の痛み』と『声がれ』があります」とのこと。
喉の痛みと声がれの背景には、どのような病気が考えられるのだろうか。まずは喉の痛みからみていこう。
「一般的には咽頭に風邪などのウイルスや細菌が感染して起こる『咽頭炎』が多いです。主に中咽頭に炎症が起こるもので、医療機関で診てもらったときに『喉が赤いですね』といわれるケースです。なお、中咽頭にある扁桃(へんとう)に感染症が起こることもよくあります。この場合は『扁桃炎』となり、咽頭炎よりも強い症状となりやすい」と櫻井さん。
扁桃は、鼻や口からウイルスや細菌が侵入することを防ぐリンパ組織。のどちんこの両わき、左右の舌の付け根あたりにあるこぶのようなものだ。扁桃炎になると、つばを飲み込むのがつらいほど激しい痛みが起こる。大人でも38度以上の高熱が出ることが多い。
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