次に声がれはどうか。
声がれの多くは、声帯のある喉頭にウイルスや細菌などが感染した場合に出やすい。こうした症状は喉頭炎と呼ばれている。
このほか、声がれの起こる原因としてポピュラーなのは、声帯ポリープだろう。声帯の振動に重要な部位にポリープ(良性の腫脹=しゅちょう、炎症に伴う腫れ)ができるため、空気の振動に支障が生じ、声がうまく出せなくなる。
ポリープができないまでも、声を出しすぎて声帯に炎症が起きたり、腫れたりして声がれが起こることもある。「いずれの場合も、カラオケで歌いすぎたり、タバコを吸っていたりすると起こりますし、学校の先生やジムのトレーナーなど、仕事で声を使う人もよく見られます」(櫻井さん)という。
ウイルスや細菌の感染によって起こる声がれは、喉の痛みや発熱も伴うことが多い。ウイルスに対しては炎症を抑える薬、細菌に対しては抗菌薬が処方される。
「耳鼻咽喉科では口からネブライザー(薬液を霧化して、鼻やのど、気管支の粘膜に薬液を直接届ける医療機器)によって、炎症を抑える薬や抗菌薬を吸入する治療があります。患部に直接、薬を届けることができるのがメリットです」(櫻井さん)
一方、声帯ポリープでは声がれ以外に症状はなく、声がれが続くのが特徴だ。声帯を使いすぎて粘膜の出血を繰り返すうちに、ポリープができてくると考えられている。
このため、声帯ポリープがあったらなるべく声を出さないよう、声帯の安静に努めるほか、炎症を抑える薬やステロイド薬の吸入治療を行う。こうした治療でよくならない場合は、ラリンゴマイクロサージェリーと呼ばれる顕微鏡下の手術で、ポリープを切除する。
「声がれ+出血」はがんの疑いも
声がれに加えて、唾液や痰などに血が混ざるときは、喉頭がんや下咽頭がんなどの疑いがある。喉頭がんや下咽頭がんはアルコールや喫煙がリスクとなり、高齢で発症する患者が多い。進行すると手術で声帯を取り除かなければならなくなり、声を失う。おかしいと思ったらできるだけ早く、医療機関で検査を受けたい。
このほか、喉の痛みや声がれは、逆流性食道炎や花粉症を含むアレルギー性の疾患などでも起こる。また、声がまったく出ない場合は、ストレスによる心因性のケースが多い。
詳しい原因を調べるためには、鼻の奥から喉を診る喉頭内視鏡検査や、首の腫れを調べる超音波(エコー)検査が有効だ。どのようなタイミングで医療機関を受診すべきなのか。
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