決められた時間・場所にごみを出しておけば、いつの間にか収集されている。これは、私たちにとって当たり前な日常の1シーンである。この日常が成り立っているのは、収集してくれる人がいるからであるが、もう少し広く捉えると、ごみの最終処分場が存在するからだ。
この「最終処分場」がもしもなくなったらどうなるのだろうか?
東京ドーム79.4杯分しか余裕がない!
清掃事業は、①収集・運搬、②清掃工場での中間処理、③埋め立てなどによる最終処分、という体系で成立している。この①②③が一貫して、統一的かつ一体的に機能したときに、清掃事業が成立しごみ収集サービスが提供される。
これらのインフラ施設のうち、清掃工場は煙突がランドマークでもあるためよく目にするが、その先にある最終処分場は山の中や海上といった人目につかない場所にあるため、住民から遠い存在となっている。本稿では、私たちにとっては見えにくく少し遠いところにあるが、ごみ排出に密接に関係している最終処分場について取り上げる。
日本の最終処分場の現状は、環境省がまとめた「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和3年度)について」に記載されている。それによると、2022年3月現在、一般廃棄物の最終処分場は全国に1572施設(新設15、稼働前8を含む)存在する。
残余容量は、9844万8000㎥である。と言われてもわかりにくいので、これを東京ドームの容積(124万㎥)で除算してみると、79.4杯分しか全国で発生するごみや灰を埋め立てられる余裕がない。
また、自らの自治体内に最終処分場を有しておらず、民間の最終処分場に埋め立てを依頼している市町村は299(全市区町村数1741の17.2%)存在するとされている。
ただし、大阪湾フェニックス計画(近畿2府4県169市町村から発生する廃棄物を大阪湾の4つの海面処分場に埋め立てる計画)対象地域や、ほかの市町村・公社などの公共処分場に埋め立てしている場合は最終処分場を有しているとして計算されている。
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