ごみを分別しない人に教えたい焼却停止の大損失 23区のごみ埋め立て可能年数を知っていますか

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小
自分が出したごみがどのようになって何処に行くのか、ご存じでしょうか? (写真:POPO/PIXTA)

ごみを出せば、いつの間にか収集されて視界からなくなり、記憶からも消え去っていく。読者の皆さんの中にはそのような感覚の方が多いだろう。自分が出したごみがどのようになって何処に行くのか――しっかりと説明できる人はいるだろうか。

この連載の一覧はこちら

筆者の勤務校(板橋区)で、板橋区在住の職員の方と話しているときに、たまたまごみ収集の話題となったので、自分が出したごみが何処にいくのかを尋ねてみたことがある。その回答は、「板橋区が運営する清掃工場に持っていく」であった。

区が運営する清掃工場ではないのだが、それは一旦置いておき、清掃工場に搬入後はどうなるかと尋ねたところ、「ごみは燃えてなくなる」と答えられた。ごみは燃えてもなくならず焼却灰として残るので、それをどこに持っていくのかと尋ねたところ、「清掃工場内に埋め立てるのではないか」とのことだった。

この方に限らず同じような回答をする人が多いだろう。

清掃職員の人も知らないごみの行方

ごみの行方について知らないという人は一般の方だけではない。筆者は3月末まで、神奈川県座間市のクリーンセンターにて、収集現場の実地調査として週1回程度清掃車に乗務して作業を体験させてもらっていた。そこで懇意にしている清掃職員の方にもごみの行方について尋ねてみた。

驚いたのが、ごみを搬入する清掃工場までは当然ながらわかるのだが、その後の行方は認識されておらず、「清掃工場の敷地に埋め立てる」と回答。現役の清掃職員の方でさえもごみの行方を知らなかったぐらいなので、一般の方がわからなくてもおかしくはない。

ごみの行方がわからない理由の1つに、清掃事業が縦割りになり「一貫性、統一性・一体性」が確保されていない、という問題があると筆者は見ている。これらによって生じる問題は多岐にわたるが、ここでは東京23区を事例に、皆さんの生活とも直接関わる「焼却炉の緊急停止による億単位の損失」と「じわりと近づく埋立地の残余年数」の2つに絞って見てみよう。

次ページ清掃事業の工程
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT