ごみを分別しない人に教えたい焼却停止の大損失 23区のごみ埋め立て可能年数を知っていますか

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しかし現状では、清掃一組は清掃工場の計画外停止の情報を各区に提供しているが、各区側では積極的に住民には伝えていないように見受けられる。すると、清掃工場の計画外停止・復旧費用と徴収される税金とが直結していると住民には実感されにくくなっていく。

2つ目の歪みは、「じわりと近づく埋立地の残余年数」について。

最終処分場の延命化についての住民周知において顕著に見受けられる。先述のとおり、東京湾の最終処分場の寿命は「約50年」の埋め立てが可能と推計されているが、その後は23区で処分場を確保する必要がある。

実際に処分場を23区内に確保するのは不可能であるため、最終処分場の延命化が有効な手段となる。よって最終処分場への搬入量を減らすほかなく、ごみの排出量の削減が大きな効果を及ぼすようになる。

しかし、このような最終処分場の状況を各区が積極的に住民に伝えているとは言いがたく、住民の認知度は低い。各区の広報誌においてごみ減量やリサイクルについては取り上げられるが、最終処分場の延命化の視点から取り上げられるケースはそれほど見受けられない。

ごみについて知ろう

もし、①収集・運搬、②中間処理、③最終処分が同一自治体で運営されていたり、横の連携がもう少し強固であれば、最終処分を意識したごみの減量や分別が住民に積極的に周知されるであろう。また、住民も積極的に最終処分場の有限性を前提としたごみの削減を行う必要性に気づくであろう。

“ごみ”に関心を少しは持っていただけただろうか? 出したごみのその後がわかってくると、自分の出したごみがどのような影響を及ぼすのかが理解できるようになるだろう。そうすることによって、ごみの量を極力減らしたり、ごみを出す場合は自治体のルールにのっとって分別し決められた曜日に出したりするなどのちょっとした意識が変わってくる。

ごみの向こうには人がいる。目に見えないところで、安心・安全な衛生的な暮らしを維持するためにたくさんの清掃従事者が尽力していることを忘れずに、ごみに関心を持っていただくことを切望している。

藤井 誠一郎 立教大学コミュニティ福祉学部准教授

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ふじい せいいちろう / Seiichiro Fujii

1970年生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科博士後期課程修了。博士(政策科学)。同志社大学総合政策科学研究科嘱託講師、大東文化大学法学部准教授などを経て現職。専門は地方自治、行政学、行政苦情救済。

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