「ごみ収集」感染リスクと隣合わせ過酷な現場ルポ

「家族にうつしたら…」精神的にも大きな負担

2020年GW、最初の緊急事態宣言発令中の新宿区でのごみ収集の様子(写真:筆者撮影)
デルタ株の感染が急拡大し、新型コロナの収束が一向に見えない中、8月に東京都台東区の清掃事務所でクラスターが発生し、不燃ごみの収集ができなくなるなど、日常生活が危うくなるケースも出てきた。地方自治を専門とする藤井誠一郎・大東文化大准教授は著書『ごみ収集とまちづくり』でごみ収集の現場で労働体験、参与観察を行い、コロナ禍における清掃事業の問題を浮き彫りにした。同書より一部を抜粋して紹介する。

清掃職場でのコロナウイルス感染

筆者は2020年11月より東京都北区の滝野川庁舎にて清掃現場の参与観察をさせてもらったが、年始の2021年1月7日に2回目の緊急事態宣言が発出されたため、まさに緊急事態宣言下での清掃事業を体験するようになった。そのなかでも大きなインパクトがあったのが、職場からコロナウイルスへの感染者が発生した一件である。その状況を述べておく。

2021年1月19日(火)、大学の研究室で本書の執筆をしていた際にデスクの電話が鳴った。めったに鳴らない電話を取ると、滝野川庁舎の技能長からであった。何か収集作業でミスをしてしまったのかという不安がよぎったが、そうではなく「清掃職員の中からコロナウイルスへの感染者が出たため、しばらく出勤を控えてほしい」という連絡であった。

2021年の年明けから感染者数が増加し二度目の緊急事態宣言が発出されていたものの、これまで身近なところから感染者が出ていなかったので、知らせを受けた時には非常に驚いた。

感染状況の結果から述べると、清掃職員2名がコロナウイルスに感染し他の清掃職員も濃厚接触者となった。幸いにもクラスターにはならず事務所が閉鎖される事態は免れたが、これらの職員や濃厚接触者となる清掃職員が通常の収集体制から欠けつつも、約2週間にわたっていつもどおりの収集サービスを提供していかざるをえない状況に追い込まれた。

多くの欠員が生じたが、それでも通常どおりの収集サービスを提供する必要があるため、何とか人を集めて収集業務を維持する対策をとらざるをえなかった。雇上車(雇上とは清掃事業者から清掃車とその運転手を受けること)の運転手の代わりは、「代番」と呼ばれる代わりの運転手が手配されたため清掃車の配車は可能となった。

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