現在の清掃事業は、可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみのいずれであろうが、①収集・運搬、②中間処理、③最終処分、という流れで進められていく。
可燃ごみの工程を例にとると、①はごみの排出場所に出されたごみを収集して中間処理施設に運ぶ業務をいう。私たちが街中でよく見かける光景である。②は清掃工場や処理施設で焼却し、ごみを減容する工程である。ちなみに可燃ごみを焼却処理すると灰となり容積は約1/20になる。
③は②により生じた残渣(かす)の行き先を決める工程である。埋立処分するか、セメントの原料の代替素材として使用するか、徐冷スラグを生成して道路用骨材、河川の護岸材、盛り土などで利用するかのいずれかで処分される。
ちなみに東京23区から排出されるごみの最終処分地は、東京湾にある中央防波堤外側埋立処分場およびその横の新海面処分場であり、埋立の残余年数は「約50年」と推計されている。
分業により運営される清掃事業から生じる歪み
東京23区では、このような3つの工程を2000年3月末まで東京都がすべて担っていたが、2000年4月1日の清掃事業の区移管により、①は各区が担い、②は東京二十三区清掃一部事務組合(清掃一組※)が担い、③は23区と清掃一組から委託を受けた東京都が担う形となって現在に至る。
よって、東京23区の清掃事業は、25(23+2)の地方自治体によって運営が担われる特殊な形態となっている。なお、冒頭で記述した「板橋区が運営する清掃工場に持っていく」との回答であるが、板橋区が運営する清掃工場でなく、清掃一組が運営する清掃工場が正しい答えとなる。
清掃事業では、①収集・運搬、②中間処理、③最終処分の工程が一貫し、全体の統一性と一体性が確保されてはじめて、その事業が完結し質の向上も見込まれる。1つの自治体が①②③を一貫して担っていれば、もう少し②と③を意識したごみの排出が住民に促されていくであろう。
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