ごみを平気で出す人が知らない埋立地の残り年数 最終処分場「残余年数」首都圏30.1年、近畿圏19.6年

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2006年の施設稼働時より、埋め立ての約8割を占めていた焼却灰を全量エコセメント化している。毎年約8万t程度がエコセメント化され、処分場の延命化に多大に貢献している。エコセメントは普通のセメントと同等の品質を持つため、道路舗装や公園などのコンクリート2次製品に加工され、多摩地区を中心に公共工事などに使用されている。

第2は徐冷スラグ化である。焼却灰を民間の資源化施設へ運搬し、1200℃以上の高温で溶融処理した後にゆっくりと冷却(徐冷)させ、石状のスラグを作る。強度や外観も天然石と類似する組成となるため、地盤改良材、道路・コンクリート用骨材等で使用される。

■徐冷スラグ化

徐冷スラグ化(出所:東京二十三区清掃一部事務組合のHPより、東京二十三区清掃一部事務組合提供・協力)

第3は焼成砂化である。焼却灰を民間の資源化施設へ運搬し、約1000℃で焼成処理して有害物質を除去して無害化した後、粉砕・造粒して人工砂を作る。焼成砂は、路盤材、ブロック資材等に利用されている。

■焼成砂化

焼成砂化(出所:東京二十三区清掃一部事務組合のHPより、東京二十三区清掃一部事務組合提供・協力)

このように最終処分場の延命化に向けた方策が採られているが、焼却灰の資源化には埋め立てに比べてコストがかかってしまう。筆者の試算では、通常の埋め立てに比べ約4倍もの費用がかかっていた。それは、製造コストに加え、遠隔にある資源化施設まで鉄道・船舶・車両によって運搬する費用もかかるからである。

焼却灰を輸送する鉄道貨物用コンテナ(出所:東京エコサービスのHP)

延命化を意識したごみ減量の必要性

2021年度のごみ総排出量は4095万t、1人1日当たりのごみ排出量は890gで、ごみ総排出量は2013年度以降減少傾向であるが、最終処分場を延命化させていくために、自治体による延命化策や可燃ごみの焼却残渣の資源化加え、私たち全員が「限りなくごみを減らす」生活を送っていく策が有効になる。

近年、SDGsに関連して3R(Reduce、Reuse、Recycle)という言葉をよく聞くようになった。しかし、Reduce、Reuse、Recycleというそれぞれの用語の意味は理解できても、なぜ3Rを行う必要があるのかへの包括的な理解は進んでいないようである。

というのは、「限りある資源を大切に使うため」という意味ばかりが強調されてしまい、「最終処分場がなくなるから」という意味は陰に隠れているからである。最終処分場が利用できないということは、清掃事業が成り立たず、ごみ収集サービスが提供されなくなることを意味する。その結果、当たり前な日常となっている衛生的な生活はできず、ごみがあふれかえる中での生活になかもしれない。

よって私たちは、最終処分場の残余年数を意識して、ごみの減量に積極的に取り組む必要がある。私たちの子どもや孫の世代にも現在のような衛生的な生活を引き渡していけるよう、わがごととして危機意識を持って、ごみの減量に積極的に参加していく必要がある。

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藤井 誠一郎 立教大学コミュニティ福祉学部准教授

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ふじい せいいちろう / Seiichiro Fujii

1970年生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科博士後期課程修了。博士(政策科学)。同志社大学総合政策科学研究科嘱託講師、大東文化大学法学部准教授などを経て現職。専門は地方自治、行政学、行政苦情救済。

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