世界のエリートはなぜ3歳から哲学を学ぶか

日本的エリートの挫折と転換

私は、見せかけのエリートではなく「真のエリート」になりたいと思っています。

簡単に私のこれまでの略歴をお話しします。日本生まれの日本育ち。日本の大学を卒業し、日本の都市銀行に勤めるという“日本的サラリーマン”でした。そして、フランスのビジネススクールに留学するまで、グローバルな国際社会で活躍できるだけの力は、まったく備えていませんでした。

私が留学した、世界トップ3の経営大学院に数えられるINSEAD(インシアード)では、世界から選りすぐりの人材が集まり、競い合います。さまざまな面で力不足だった私は、周りの高いレベルについていけず、成績は下位。生まれて初めて胃けいれんになるほど、精神的に追い込まれました。

私が死にそうなほどの苦境を脱するきっかけになったのは、「哲学」を通じた徹底的な学びでした。哲学の本を通じ身につけた“哲学的思考法”を徐々に実践していくことによって、世界から集まった選りすぐりの人材との議論にもついていけるようになり、力を発揮できるようになっていったのです。 

Who are you?―あなたは何者?

日本と海外の企業で働いたことで、強く感じた違いがあります。それは哲学的思考法が身についているかいないかです。端的にいうと、日本でエリートと言われる人たちは哲学思考法を身につけていませんが、世界でエリートと言われる人たちは哲学的思考法を身につけています。

もちろん全員が全員とは言いませんが、世界でエリートと言われる人たちからは哲学的な思考や教養を強く感じるのです。この哲学的思考法を身につけているかいないかは、幼い頃からの学校教育の違いによるところが大きいと思います。

日本の学校教育は、「1+1=2」のように唯一絶対の正解があることが大前提となっています。正解が1つではなく、2つも3つもあるような勉強をほとんどしていないのです。

「正解が2つも3つもある勉強?」と違和感を持たれた方がいるかもしれません。しかし、欧米諸国では正解が複数あるテストはもちろん、「明確な正解のない問題」さえあるのです。

こういうと、「正解は1つ」という日本的な教育に慣れ親しんだ多くの人は、頭の中が「???」となってしまうことでしょう。そこで、実例を示しながら説明することにします。

「Who are you?ーあなたは何者?」

これは米ハーバードなど、世界的トップスクールの試験によく出される定番の問題です。みなさんは、この「正解のない問題」にどう答えるでしょうか?「あなたは何者?」なんて問われると、多くの方々は戸惑うことでしょう。それもそのはず、唯一絶対の正解がある問題に慣れ親しんだ私たち日本人は、こうした明確な正解のない哲学的な問いに慣れていないのです。

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