世界のエリートはなぜ3歳から哲学を学ぶか

日本的エリートの挫折と転換

逆にいうと、欧米ではこうした正解のない哲学的な問いに対する思考回路が幼いころから培われているということです。そして、幼いころからの学校教育の違いが、社会に出てからの思考回路の違いとなって如実に現れるのです。

幼稚園児が哲学を学ぶ!?

私が留学した国、フランスの高校では、「哲学(philosophie)」が必修科目になっています。その目的は、既存の価値観にとらわれることなく、自分の頭で物事を考え、判断する人間を育てること。さらに自分なりの考えを、できるだけ正確な言葉で、論理的に誰かに伝える力を養うことです。こんな興味深い例もあります。

『ちいさな哲学者たち』(原題・JUST A BEGINNING)という2010年製作のフランスのドキュメンタリー映画があります。3~4歳の幼稚園児が哲学の授業を受ける様子を、2年間にわたって密着撮影したものです。

「愛ってなに?」

「自由ってどういうこと?」

「大人はなんでもできるの?」

幼稚園児たちが哲学的な「正解のない問題」について自分たちの頭で考え、話し合いをするのです。相手の言葉に耳を傾け、それに刺激を受けることによって、さらに自分の頭で考える力を高めていく。

これは一例にすぎませんが、いま日本人が海外に出ていったときに相対するのは、このような教育を受けてきた人たちだということは知っておかなければなりません。

これからの時代、グローバルな国際社会でリーダーシップを発揮して活躍し、世界の人に認められるためには、哲学的思考法が必要不可欠です。日本の学校のテストのように暗記で対応できる、正解のある問題に解答する力ではなく、正解のない問題について「自分の頭で考える力」を身につけることが求められるということです。そして、よりよい世界をつくっていくのです。

自分の頭で考える力を養うために私が最も効果的だと思うものこそ、哲学を通じた学びなのです。哲学というと、どうも難しそうな印象がつきまといます。しかし、シンプルに考えれば怖くありません。

哲学では、「自由とはなにか?」や「平等とはなにか?」といったように昔から議論され続け、いまだに解決されていない根源的なテーマが扱われます。要は、こうした価値観について「自分はどう考えるのか」と問い続けるのが哲学なのです。自分に対する問いかけ自体が、考える力を磨く最高のトレーニングとなります。

この世の中は、唯一絶対の正解があることばかりではありません。むしろ、仕事もプライベートも、それがないことばかり。理屈通りに物事が運ばないことのほうがつねとなっています。

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