「過疎化で檀家減少」が寺だけの問題で済まぬ事情 ガバナンス欠如で脅かされる「信教の自由」

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墓前で祈りを捧げる僧侶
人口減少による過疎化でお寺の経営は危機的状況にあるようです(写真:IYO/PIXTA)
人口減少による過疎化で檀家が減少し、地方では経営危機に直面しているお寺もある。人口減少による経営危機は地方の商店なども同様だが、お寺に限っては、単に1つのお寺がなくなるというだけでは終わらないという。
お寺の行動経済学』の著者、中島隆信氏が、「お寺の経営問題とそれが私たちの生活にどのように影響するか」を解説する。

葬儀や法事をしない人が増えている

経済ダーウィニズム(Economic Darwinism)という言葉をご存じだろうか。自然界の自然淘汰(natural selection)と同様、環境の変化に適応できない経済主体は社会から消え、適応可能な主体へと切り替わっていく現象のことをいう。

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もちろん、その過程ですべての事業者が姿を消していくわけではない。時代の変化を的確にキャッチし、組織変革を怠らない事業者は自然淘汰の波に飲み込まれることはない。

ただ、そのためには組織を統治するしくみ、すなわちガバナンス・システムがしっかり機能していなければならない。

いまの日本が直面している最大の環境変化のひとつは、人口減少とそれに伴う地方の過疎化と都市部への集中といっていいだろう。

産業によっては、人間の頭数が減っていくことの影響をもろに受けるところも多いはずだ。葬儀や法事といった仏事を事業の中心とする日本のお寺はその最たるものだろう。

「日本は高齢者が多いから仏事が減ることはない」と考える人もいるが、それは大きな間違いだ。なぜなら、葬儀や法事は亡くなった人ではなく、遺された人たちが行う儀式だからである。

実際、近年、引き取り手のない遺骨を自治体が無縁納骨堂に安置するケースが増えているという報道もある。

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