お布施も墓も「低価格化」はもう避けられない イオンなど異業種参入組の価格破壊は強烈だ
この夏休みに実家へ帰省して、久しぶりに墓参りをした、あるいはこれからその予定だという人は少なくないだろう。一方で、実家が遠く、なかなか墓参りに行けないという人もいるはずだ。
「永代供養墓」をご存じだろうか。「お墓参りができない人に代わって、あるいはお墓参りしてくれる人がいなくても、代わりにお寺が責任を持って永大にわたって供養と管理をするお墓」(永代供養推進協会HP)のことである。
一般的にほかの人と一緒の墓、あるいは同じ納骨室(棚)に安置されることから「合祀墓」「合同墓」「合葬墓」「共同墓」「集合墓」「合葬式納骨堂」など、さまざまな呼び名があるようだ。個人墓の場合を除いて墓石代がかからず、墓地使用料が安いという特徴がある。
都市への人口流入が進む一方、地方の寺は住職が高齢で跡継ぎもいない。墓は数カ月放っておくとあっという間に雑草も生えてしまう。核家族化も進み、墓を代々受け継ぐことが前提ではなくなってきている中で、永代供養墓への関心は急速に高まっている。
最安価格は3万円で「追加費用なし」が売り
その永代供養墓で強烈な価格破壊が始まっている。先頭に立つのはイオン、ユニクエスト・オンライン、みんれびといった葬儀費用の低料金化を推し進めてきた異業種参入組だ。
2009年以降、葬儀業界に新規参入してきたこの3社の特徴は、追加料金不要かつ低料金の葬儀プランを提示して集客を担う代わりに、実際に葬儀を施行する葬儀社から葬儀価格の20~25%の手数料を得るというビジネスモデルにある。菩提寺を持たない人向けには葬儀で読経してくれる僧侶も手配する。
週刊東洋経済8月8日-15日号(合併号)の特集『お寺とお墓の大問題』でレポートしたように、葬儀の評価基準を価格一辺倒にしたきらいはあるが、人々から一定の支持を得たのは事実。実際、「小さなお葬式」ブランドを展開するユニクエストの1万4000件という年間取扱件数は葬儀業界3位の規模である。それだけに永代供養墓においても台風の目となりうる存在だ。
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