お布施も墓も「低価格化」はもう避けられない

イオンなど異業種参入組の価格破壊は強烈だ

永代供養墓を扱う寺院・霊園の紹介で先行したのはイオン(葬儀事業はグループ会社のイオンライフが展開)。2013年に始めた。その後、今年になってユニクエスト、みんれびの2社も本格展開している。

気になる価格はイオンとみんれびが3万5000円、ユニクエストは5万5000円。イオンとユニクエストの場合、自社の葬儀プラン(「イオンのお葬式」「小さなお葬式」)を利用していれば、さらに5000円割引となる。

3社ともに「追加費用なし」が謳い文句。埋葬料、永代使用料、永代供養料、永代管理料が金額に含まれているため、埋葬後に合同供養をしてもらうときもお布施は不要だという。

価格だけをみるとユニクエストが高い。しかし、永代供養墓が利用できる提携寺院は60カ所と、イオン18カ所、みんれび3カ所を大きく上回る。また2年間は合祀せずに個別安置する点も他社と異なる。

ただ、ユニクエストの5万円台も十分に安い価格だ。通常、合祀であれば1体10万円、お骨を一定期間安置する場合なら30万~50万円が平均的な金額と言われているからだ。

「宗教をビジネス化」しているとの批判も根強い

一方、永代供養墓にまで異業種参入組が手を伸ばしてきたことに、仏教界の一部からは反発の声も聞かれる。

真宗大谷派の僧侶でもあるNPO法人・永代供養推進協会の小原崇裕代表理事は、「お寺が担う供養や墓守は墓石と違ってモノではない。それを業者がモノを扱うように仲介販売するのはおかしい」と指摘する。

このような「宗教をビジネス化している」との議論は5年前にもあった。異業種参入組が通夜・葬儀での読経や戒名をもらうことに対するお布施について、インターネット上で料金表示と体系化を打ち出したときだ。伝統仏教界における連合組織の全日本仏教会が、お布施の価格表示は仏教の宗教性に対する越権行為に当たると抗議したのである。

だが、現状はというと全日本仏教会の抗議もむなしくお布施の価格表示は既成事実化している。イオンはお布施金額の「目安」として一部をネット上に掲載しコールセンターで詳細を伝える形に変えたが、ユニクエストやみんれび、さらには複数の僧侶派遣業者はお布施の価格を堂々と明示化している。しかも、一般的とされるお布施の額より8割以上低い。

お布施の宗教的意義を重視しない人からすると料金は安いほうがいい。永代供養墓もお布施の価格表示化と同じ流れになる可能性があるが、それはもはや時代のニーズと言える。

3社の中で最後発のみんれびは8月6日、ベンチャーキャピタル3社(グローバル・ブレイン、住友海上キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル)から総額2.8億円の出資を受け入れたと発表した。ブランド力や資本力を背景に葬儀業界で進む価格破壊。この動きはもう止まりそうにない。

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