「実家の片づけ」はもはや社会全体の悩みだ

東京一極集中のツケは大きい

亡くなった親の家のトイレにはトイレットペーパーが天井まで積みあがっていた--。『実家の片づけ』第1弾で取り上げた柴田亮さん(仮名)のケース。これが紛れもない現実だ

「久々に行った母の部屋はまるでゴミ屋敷のようで、本当にびっくりしました」。

埼玉県に住む吉岡陽子さん(仮名、60)はそう語る。今年83歳になる母は本来、きれい好きな性格。一緒に暮らす父とは年に何度か旅行するなど、老後を楽しんでいたと思っていただけに、吉岡さんはその変わりように愕然とした。

きっかけは母の認知症だった。当初は父が介護をしていたが、その父も健康を害し介護が難しい状況に。そのような中、短期間で実家の状況が大きく変わってしまったのだ。

脱ぎ捨てられた下着や衣類、食べかけの食品、散乱した書籍、写真や手紙、預金通帳――。部屋にはあらゆる物が散乱していた。今年9月、吉岡さんは片付け業者を使って部屋を整理、その費用には約7万円を要した。「母親の介護のことだけで手いっぱいで、とても自分一人ではできなかった」。それでも業者が入る前は、荷物の仕分けのために3度ほど週末に実家へ通った。

背景にあるのは”親の老い”

いま日本全国で実家の片付けに追われる人たちが増えている。『週刊東洋経済』はこの夏、「実家の片づけ」という特集を組み、多方面から大きな反響を得た。実家の片づけは単なる個人レベルの問題ではなく、もはや社会全体の悩みであり、まだまだ掘り下げる意義がある。そこで12月15日(月)発売号では第2弾として「実家の片づけ2」をお届けした。

前回と同様に今回も実家の片づけに関するアンケートを実施したところ、前回以上の声が集まった。 アンケートの結果を簡単に紹介しよう。アンケートに協力いただいた1199人のうち、約4割の501人が「実家の片付けをしている」、もしくは「片付けた経験がある」と回答。実家の片付けを始めるきっかけは、「親の手伝い」(23.2%)、「親の実家を相続するため」(17.6%)、「実家の売却のため」(14.0%)という声が上位に並んだ。

実家の片付けで苦労した物は「衣服」(15.9%)、「家具」(14.9%)、「日用品」(12.7%)、「写真やアルバム」(11.7%)といった物が上位に並んだ。ほかにはメールアドレスやパスワードなど「ネット上にあるもの」や「農機具」、「庭木・庭石」といった回答も見られた。

実家の片付けが社会現象になるのは、その背景に、不用品の処分やリサイクルの問題、親の介護、そして相続といった問題が潜んでいるからだ。吉岡さんのように親の認知症がきっかけになることも多い。実家の片付けを手伝いながら、「これまできれい好きだった親がなぜ?」と、気づかなかった親の変化に戸惑うこともあるようだ。

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