空き家問題、実は都心部こそ深刻 東京は需給ミスマッチ!独居高齢者の住みかはどこに
およそ7軒に1軒が空き家――。
7月末、総務省は5年おきとなる「住宅・土地統計調査」を公表した。2013年の日本の空き家は約820万戸、総住戸に占める割合は13.5%といずれも過去最高を記録した。注目を増す空き家問題は「地方の話」ととらえられがちだが、実は都心部こそ深刻だ。
東京都の空き家率は2013年で11.1%。全国平均を下回るが、それはあくまで「率」の話。母数が多い分、空き家の実数でみると全国でダントツの多さなのである。しかもそのうちの約7割が都心部の東京23区に集中している。
一方、東京では住宅のミスマッチが起きている。単身世帯の増加に住宅供給が追いついていないのだ。特に顕著なのが一人暮らしの高齢者。東京では全世帯の約46%を単身者世帯が占め、そのうち約4軒に1軒に65歳以上の居住者がいるが、一人暮らしの高齢者が安心して住めるすまいは少ない。空き家が増え続けているにもかかわらずである。
生活支援で大家の不安を解消
新宿区下落合にある高齢者向け自立援助ホーム。24部屋は一人暮らしの高齢者で満室だった。入居者の男性(77)は「都営住宅に何度も申しこんだが落選続きだった。住み慣れた新宿に暮らし続けることができてうれしい」と語る。
空き家状態だった共同住宅が、高齢者向けホームに生まれ変わったのは10年12月。運営するのはNPO法人「自立支援センターふるさとの会」だ。
ふるさとの会は1990年から単身の生活困難者の支援を続ける。単身困窮者が地域で住み続けるためには住宅支援が不可欠。その中で空き家の活用に行き着いた。現在ふるさとの会の支援をうける単身困窮者は1134人。約7割が60歳以上で、ほとんどが生活保護受給者だ。
空き部屋があったとしても、一人暮らしの高齢者はなかなか部屋を借りられない。貸す側からすれば、家賃の滞納や種々のトラブルが心配だからだ。孤独死のリスクもある。
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