空き家問題、実は都心部こそ深刻 東京は需給ミスマッチ!独居高齢者の住みかはどこに

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そうした懸念を払拭するのが、ふるさとの会の役割。賃料滞納があった場合に関連会社を通じて支払いを保証したり、トラブルの早期発見・対応も行う。下落合の自立援助ホームのように、空きアパートを一棟まるごと借り上げるケースもある。同ホームには24時間365日体制で職員が常駐し、食事の提供や日常生活の支援、服薬の管理まで行う。

ふるさとの会常務理事の滝脇憲さんは「いかに大家さんの不安を解消するか。それさえできれば、単身高齢者でも借りられる空き家は多い」と語る。重要なのは、単なるマッチングではなく、生活支援や見守りといったソフトを同時に提供することだ。現在では空き室に悩む貸し主側から依頼を受けて、アパートの管理を一括受託する案件も出てきた。

活用次第で地域の資産になる

ただ、一人暮らしの高齢者は孤立することも多い。それを防ぐためには、地域とのつながりが必要になる。

ふるさとの会が設置した誰でも入れるカフェ

ふるさとの会は2013年1月、新宿区大久保にあるビルの空きスペースを活用し、誰もが入れるカフェを設置した。利用者にとっては気軽に相談する機会が増え、地域との交流の場が持てる。滝脇さんは「場の力は大きい。高齢者が地域に住み続けるにはこうした地域での居場所作りが必要になる」と指摘する。

今年度から厚生労働省は、低所得高齢者の住まい確保や見守り・生活相談を支援する事業を始めた。そこには医療や介護施設では対応できないすき間を地域で埋めるという発想もある。今後東京を始めとした都市部では医療・介護施設の不足が予想されており、地域挙げての取り組みが必要になってくる。

空き家は活用次第で、地域の資産に変えられる。今後空き家と一人暮らしの高齢者の急増が同時に見込まれる中で、両者をどう結びつけるか。地域の智恵が問われている。

週刊東洋経済2014年8月23日号(8月18日発売)の特集は「実家の片づけ」です。
特集では多くの空き家に直面する地域の取り組みや空き家管理などのほか、12人の実体験を通じ、実際の実家の片付けはいかなるものか、困難にどう対処したかを詳細にレポート。親とのコミュニケーション術から知っておきたい相続知識など、実家問題を総まくりしました。⇒詳しい目次・購入はこちらから

 

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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