家電ノジマが「ドコモショップ」を爆買いした成算 過去最大級のM&Aで携帯販売業界トップを猛追

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家電量販大手・ノジマの店舗
コネクシオ買収により、ノジマ傘下の携帯ショップは1000を超えた。野島廣司社長は「この厳しい業界の中で生き残れる会社は当社だけではないか」と自信をのぞかせる(撮影:今井康一)
携帯ショップ業界に再編の号砲を鳴らしたのは、家電量販店のノジマだった――。
ノジマは3月、携帯販売代理店大手のコネクシオを完全子会社化した。コネクシオは全国におよそ400店強の携帯ショップを運営し、ドコモショップ数では業界最多を誇る。買収に要した資金は約860億円と、ノジマにとって過去最大級のM&Aとなった(詳細はこちら)。
キャリアによる手数料条件の切り下げなどにより、携帯ショップ業界は厳しい市場環境が続いている。斜陽化しつつある市場で、あえて勝負に出たノジマに成算はあるのか。野島廣司社長を直撃した。

予算やノルマで現場が疲弊している

――コネクシオの買収を決断した狙いは何でしょうか。

家電も携帯ショップも、成熟市場だ。家電の売り上げなんて、ここ10年の数字をみると、ノジマ以外はほとんど伸びてない。成熟市場で伸ばせるノウハウがあるから、コネクシオを買収した。

ノジマは2015年に(携帯ショップ大手の一角だった)ITXを買収して立て直した。同じようにコネクシオも立て直していくつもりだ。

――コネクシオは2023年3月期も2期連続で営業減益の見込みです。厳しい経営環境で立て直せますか。

まず従業員の待遇を改善する。コネクシオはボーナスが業績連動型で、業績低迷に伴って、すごい勢いで落ちる予定だった。それを従業員の生活を守るため、下げないことにした。

ノジマの野島廣司社長
野島廣司(のじま・ひろし)/1951年生まれ。1973年、有限会社野島電気商会(現ノジマ)入社。2002年から現職。当初は相模原市の小規模な家電販売店だった同社を現在の形まで急成長させた(撮影:今井康一)

会社の業績の良し悪しはすべて幹部の責任で、従業員に対してその負担をかけることは一切したくない。ベースの賃金についても、ノジマと同様に上げていく。

コネクシオには予算もノルマもあって、従業員が疲弊してしまっている。ノジマは営業会社なのに、予算やノルマがない。一般的には、数字を追いかける会社がいい会社だと思われているけど、僕は「数字を追いかけるな」と言っている。

ノジマは本部が(一律に営業施策などを)決めるのではなく、店や従業員個人の裁量を大きくしている。こうした方式をコネクシオにも取り入れていきたい。

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