家電ノジマが「ドコモショップ」を爆買いした成算 過去最大級のM&Aで携帯販売業界トップを猛追

拡大
縮小

――規模拡大によって、キャリアに対する交渉力を上げたいという狙いもあるのでは?

僕はそういった(規模拡大による)競争力とかはあまり考えない。どうしてかというと、(ノジマは)小さいときでも伸びていたのだから。

(代理店に対してキャリアが持つ)優越的地位は仕方がない。それが嫌だったら、楽天みたいに自分でキャリアを作ればいい。僕には作る能力も、技術力もないからやらないけどね。

家電に並ぶ大黒柱にする

――ノジマは2030年ごろまでに売上高1兆円、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)1000億円を目指しています。2022年にスルガ銀行との資本提携を解消し、金融事業から撤退した今、キャリアショップ事業の拡大は目標達成に不可欠となりますね。

スルガ銀行との提携を通じて、ノジマとしては(個人向け融資などの)BtoC領域を強化したかったが、法人向けに力を入れたいスルガの経営陣との間で考え方が違った。

キャリアショップは間違いなく、家電と並んで重要な2つ目の大黒柱となる。今後もチャンスがあれば(携帯ショップの)M&Aを手がけていきたい。

ノジマの売上高内訳

ただ、(店舗数に占めるノジマの)割合が大きくなりすぎたので、警戒するキャリアが出てくるかもしれない。さっきも言ったように、僕としては(キャリアに対抗するような)そんな気持ちはないんだけど。

――業界全体では、「1円スマホ」などの過度な安値合戦も問題視されています。電気通信事業法ではスマホ端末の割引上限額を2万2000円までとしていますが、キャリアから課せられたノルマを達成するため、代理店がそれ以上の割引を独自に実施して廉売したり、転売ヤーに販売して数字を作ったりするケースが目立っています。

そうなの?僕は(割引金額の上限について)よく知らないけど。うちはそういうことはしない。自分の会社が不正をしていると思ったら、その会社にロイヤルティー(忠誠心)は湧くだろうか。皆さんやっているけど、僕はそういう感覚が好きじゃない。

他方で、あまり言うと総務省に嫌われるけど、「●年縛り」といった契約条件はあるべきだと思う(編集注:総務省は2019年に「2年縛り」などの期間拘束を事実上封じた法改正を実施し、キャリア各社は縛りのあるプランを相次ぎ廃止した)。これがないから、転売ヤーが安く買って海外に持っていっちゃう。逃げ道をどんどん作らせると、かえって消費者によくない状況になってしまう。

高野 馨太 東洋経済 記者

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たかの けいた / Keita Takano

東京都羽村市生まれ。早稲田大学法学部卒。在学中に中国・上海の復旦大学に留学。日本経済新聞社を経て2021年に東洋経済新報社入社。担当業界は通信、ITなど。中国、農業、食品分野に関心。趣味は魚釣りと飲み歩き。

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