IIJ、接待問題で辞めた総務官僚が副社長になる訳 「元総務省ナンバー2」の谷脇氏本人を直撃した

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谷脇氏は、IIJ鈴木会長の「三顧の礼」に応じて副社長に就任した(撮影:風間仁一郎)
まさに異例の人事だった――。
6月28日、インターネット接続サービス大手のインターネットイニシアティブ(IIJ)の副社長に谷脇康彦氏が就任した。
谷脇氏は総務省で事務方トップの事務次官に次ぐナンバー2の総務審議官を務めていたが、NTT幹部らから国家公務員倫理規定に反する高額な接待を受けていたことが発覚し、2021年3月に辞職。一方、キャリアの携帯料金値下げやMVNO(仮想移動体通信事業者)の参入促進など、通信の競争活性化に邁進してきた人物でもある。
IIJは法人向けインターネット接続サービスを軸として、MVNOのIIJmioやデータセンター事業などを手がける。大企業・官庁に豊富な顧客基盤を持っていることが強みで、足元ではDX(デジタルトランスフォーメーション)化が追い風となり、業績は順調に伸びている。
谷脇氏はIIJの副社長としてどのような役割を担うのか。本人を直撃した。

鈴木会長からIIJに誘われた

――どのようなきっかけで副社長に就任されたのでしょうか。

2021年3月に総務省を退官してからは、とくに何もしていなかった。そんな中、去年の秋ぐらいにIIJの鈴木幸一会長から「それだったらIIJに来ないか」と声をかけてもらったのがきっかけとなった。

その後、2022年1月に顧問としてIIJに入り、業務内容などを勉強したうえで、副社長就任という流れになった。

――接待問題で総務省を去ったこともあり、就任に対して葛藤はなかったのですか。

普通の辞め方ではなかったので、迷惑がかかると思い、いったんは固辞した。ただ、鈴木会長から、「通信行政の中で経験を積んできたんだから、IIJを通じて社会に還元することを考えるべきではないか」と言っていただいたのが胸に響いた。

そういう意味では、社会に対する恩返しをするということで、私としても同感だった。そう言っていただけたことが大変ありがたかったので、IIJで自身の経験を生かして働きたいと思い直し、この話を受けることにした。

――それにしてもなぜ、再就職先にIIJを選んだのでしょうか。

IIJは商用インターネットを日本で初めて開始した会社で、今も業界をリードしている。これまでずっとデジタル技術に関わってきた身としては、IIJという会社に対して非常に共感できるし、その中で自分の知見や経験を生かしていけると確信したからだ。

もともと総務省に入省した1984年は電電公社(現NTT)民営化の1年前で、業界が「競争前夜」だったこともあり、(競争を促進できるのが)面白いと思った。学生時代にコンピュータが好きでプログラミングを勉強していたバックグラウンドがあり、興味のある分野でもあった。

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