「娘婿はみんな移民」フランス一家の"異文化衝突" 海外作品をどう買い付けるか、配給会社に聞く
フィリップ・ド・ショーヴロン監督自身はカトリック教徒のフランス人なのですが、アフリカ系の血を継ぐ女性と結婚しました。この作品には監督自身のリアルな体験が反映されています。
民族間のギャップはデリケートな問題ですが、フランスならではのエスプリの利いたジョークによってエンターテインメントに昇華させています。
今まで違う価値観で生きてきた人が一緒に住むということは、お互いの努力が必要ですが、そのことをコメディタッチで描いているのが、この『最高の花婿』シリーズだと思います。
カンヌで出会った移民一家の物語
――この作品とはどこで出会ったのでしょうか。
カンヌ映画祭に併設されたマーケット(見本市)でした。シリーズの最初の『最高の花婿』が公開された途端に観客動員数700万人を記録したのですが、桁違いのヒットは、映画関係者で話題になっていたので、マーケットで最初の試写が行われたんです。各国の買い付け担当の人たちが大勢来ていましたが、みんな大笑いしていましたね。
でも、すぐに買い付けの交渉には行きませんでした。当時はパリにいたので、こういうシチュエーションは私にはとてもよくわかりましたが、日本のスタッフや劇場の人たちはこの感覚は日本人にはわからないのではないかと言っていましたね……。ヨーロッパでは受けるだろうけど、アジアでは難しいのではないか、と。
ただ、韓国では大ヒットしていたので、日本で公開できる道を模索してました。そこで、この作品に日本語字幕を付けてフランス映画祭に出品して、反応を見ようということになったんです。それで映画祭に来ていた劇場の方がとても気にいってくださり、買い付けることにしました。
――娘たちの幸せを案ずる60代の熟年夫婦は男と女として振る舞っています。とてもフランスらしいと感じました。
フランスはカップル文化なので、年を取っても、夫婦は男と女。そして、父と母である前にやはり男と女であるという価値観があります。子どもが生まれたことで自分たちの生活を犠牲にしない。それがフランスの人の考え方です。
そして、働いているか否かを問わず、多くの人が恋をするのに卒業する年齢はないと思っています。50代以上の恋愛を描いた映画、老人のセックスを描いた映画も多い。日本では「観客が集まらないのではないか」という懸念があって配給されていませんが・・・・・・。
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