「娘婿はみんな移民」フランス一家の"異文化衝突" 海外作品をどう買い付けるか、配給会社に聞く

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――映画の買い付けのために世界各国へ行っているとのことですが、語学はどのようにして習得したのでしょうか。

映画祭や映画のマーケット(見本市)のある国へ行き、基本的には、英語で話しています。ただ、パリやベルリンにも7年ずつ行き来していた時期があったので、フランス語やドイツ語も話せます。

フランス語はすべて独学ですが、日本に住んでいるフランス人に個人教授をしてもらっていた時期もありました。パリに行くようになってからは、毎日がフランス語なので、耳から覚えました。そういう意味で映画はとてもよい教材です。

最初にざっと文法を頭に入れて、そこからはどんどん話してみて、コミュニケーションに時間を割いていました。やはり読み書きなどの座学だけでは語学はうまくならないと思います。

日本は若い人でも英語を話せない人が多いですよね。日本に来た外国人は「日本は経済大国なのに、なぜみんな英語が話せないのか」とびっくりしています。若い人たちには日本の外の世界に出て、もっとコミュニケーションしてほしいですね。

株式会社セテラ・インターナショナル代表取締役の山中陽子さん(写真:筆者撮影)

情熱を見せて信頼を得る

――海外でビジネスの交渉をする時のコツはありますか?

1996年から伝説の美男俳優と言われるジェラール・フィリップの映画を探しに何度もパリに行き、日本で配給するための契約を締結しました。価格競争などもありますが、最終的には相手とのコミュニケーションで配給権獲得に成功したことが何度もあります。

映画だけに限らないと思いますが、やはり情熱を見せて信頼を得るということですね。ファクスを何度も何度も送って、この映画をいかに自分が愛しているかを相手に伝えました。先方が「この配給会社に任せたらきちんと上映してもらえる」と確信を得たときに契約が決まります。そして、そういう取引先とはとても仲良くなりますね。

――日本とのビジネスのあり方の差を感じたことはありますか。

日本のビジネスよりも、海外のほうがストレートですね。歯に衣を着せぬ返信ばかりです。OKならOKですし、NOならNOです。日本で「検討します」という回答があった時には、断る場合もありますよね。

また、日本では窓口になっている担当者に決定権がない場合も多く、最終的に上層部の決裁が下りるまで時間がかかる場合も多いです。

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