常識外れ?あの「相棒」最終回はアリかナシか 「男はつらいよ」テレビ版を彷彿

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おそらく、今回、甲斐享を逮捕して終わるという結末は、「相棒 season 13」 第11話「米沢守、最後の挨拶」が高い視聴率を獲得したことも影響しているのではないかと思います。

相棒は今後、「24」に"発展"するか

第11話も、右京の大切な仲間のひとりである鑑識の米沢守(六角精児)が被疑者となる話。「米沢さんが『相棒』を辞めるなんてありえない」と思いながらも、やはり気になって見てしまいましたから、登場人物が殉職する、逮捕される、といったストーリーは、視聴率を獲得するには最高の飛び道具であることがわかります。

制作側からすれば、退職や異動などで相棒を卒業させて、低視聴率で終わるよりは、物議を醸して高視聴率を獲得したほうがうれしいはず。何も話題にならないよりは「ひどい結末だ」と話題になったほうがいいのです。

「相棒」シリーズは season 13で、これまでの「相棒=裏切らない」という公式を崩しました。今後はシャーロック・ホームズ方式ではなく、「24」(FOX)のように、周りの人がどんどん裏切っていくフォーマットに変わっていくのでしょうか。そう考えると、「相棒 season 13」はひとつの分水嶺であったのかもしれません。 

4月19日(日)には、甲斐享が出演する「相棒-劇場版Ⅲ- 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ」が放送されます。きっとダークナイトだったことは忘れて、普通に見てしまうんだろうな~~。

佐藤 智恵 作家・コンサルタント 

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さとう ちえ / Chie Sato

1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組を制作。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。主な著書に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『スタンフォードでいちばん人気の授業』(幻冬舎)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)、『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)、最新刊は『コロナ後―ハーバード知日派10人が語る未来―』(新潮新書)。公式ウェブサイト

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