最終回の視聴率は20%超え。再放送は11%超え。放送後の炎上まで予測していたかどうかはわかりませんが、結果から見るかぎり、テレビ局と制作スタッフの戦略勝ち、と言えそうです。
「男はつらいよ」の成功パターンと同じ?
「相棒 season 13」の最終回をめぐる騒動を見ていて思い出したのが、テレビ版「男はつらいよ」(フジテレビ系、1968年〜69年放送)の最終回です。「男はつらいよ」は、映画の印象が強いですが、そもそもは1960年代にテレビドラマとしてスタートした物語。このテレビ版の最終回は、かなり衝撃的です。
奄美大島でハブを捕獲して一儲けしようとした主人公の車寅次郎(渥美清)が、何と、ハブにかまれて死んでしまうのです! これも、前述の「相棒」同様、とってつけたような展開で、唐突な結末でした。
当然のことながら、放送終了後、
「寅さんを死なせないで」
と視聴者からフジテレビに抗議が殺到。
すると、その後、「男はつらいよ」は映画化され、1969年夏に第1作目が公開されます。寅さんが一度死んでから半年後のことです。
さて、その第1作目「男はつらいよ」(1969年)では、何事もなかったかのように映画は始まり、さくらさん(倍賞千恵子)も「お兄ちゃん、生きてたの?」と言うだけ。あの最終回は何だったのかと思いますが、テレビ版の放送終了後、映画版が48本も制作されたのはご存じのとおり。
「相棒 season 13」の最終回も、あれは杉下右京が中学生のときに書いた推理小説の話だったとか、あれは誤認逮捕だったとか、甲斐享を再登場させるために続編を作ろうと思えば、どうにでも展開できることでしょう。続編を作らなくとも、再放送を見ているだけですでに最終回のことは忘れているのだから、やはり最終回はいくらでもなかったことにできるのです。
ということは、「男はつらいよ」方式で、物議を醸すような終わり方をする、というのも戦略としては有効なのかもしれません。
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