「相棒 season 13」の最終回(テレビ朝日系、3月18日放送)は、杉下右京(水谷豊)の相棒、甲斐享(成宮寛貴)が逮捕されるという衝撃的な結末で幕を閉じました。
放送終了直後、物議を醸した最終回。その後、視聴者がどのような受け止め方をしていくのか、注目していましたが、意外にも熱心に再放送を視聴している様子。この現象を見て筆者は思いました。「相棒」最終回は、「男はつらいよ」(テレビ版)の最終回と同じだ……。
刑事ドラマの鉄則を覆した!
「相棒 season 13」の最終回は、2時間を超えるスペシャル版として放送され、平均視聴率20.3%を獲得しました(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。
甲斐享の卒業回として注目されていたとはいえ、これはかなりの高視聴率。やはり、「甲斐享は、悪党たちに暴力で制裁を加える『ダークナイト』だった」という設定が、視聴者の想定を大きく超えるものだったため、最後まで見てしまったのだと思います。
最終回は、警察の手が及ばない悪党だけを狙った連続暴行事件が発生したところから始まります。その手口から、犯人は、「ダークナイト」と呼ばれる人物と警察では推定。ダークナイトは、ここ2年足らずの間に、同様の事件を5件起こしており、世間の注目は高まるばかり。杉下右京も興味を持ち、捜査に乗り出して……という展開でした。
最終回の冒頭から、甲斐享が暴力を振るうシーンが出てきたので、「甲斐享=ダークナイト」という可能性はありそうでした。ところが筆者は、「これはどこかでどんでん返しがあって、まさか犯罪者としては卒業しないだろう」と思っていました。
なぜなら、「主人公の相棒は裏切らない」というのは刑事ドラマの鉄則。
拙著『テレビの秘密』でも触れましたが、「相棒」の原型をたどっていくと、コナン・ドイルの推理小説シャーロック・ホームズシリーズに行き着きます。天才探偵のシャーロック・ホームズ=杉下右京と、その助手のワトソン=歴代の相棒が2人で事件を解決していく構図を、「相棒」は踏襲しています。その中でワトソンが、ホームズを裏切ることはありません。
この方針は、「相棒」シリーズでも、ずっと貫かれてきました。それが視聴者との約束でもあったわけです。この約束を破ってしまったら、「相棒」の世界観は総崩れ。だから、相棒を犯罪者にするなど、絶対にありえないと思っていました。
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