「K-POPのグローバル化に不満」本国ファンの本音 海外ビジネス追求の企業論理で失われるもの

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SMエンターテインメント所属グループの長年のファンだというイ・サンミ(36)は、カカオが経営の主導権を握ったことで、お気に入りのグループの「自由度が減る」可能性を心配していると語った。

YouTubeでファンチャンネルを運営する17歳の高校生、クォン・イェヨンは、アルバムのジャケットやアーティストのファッション、コンサートの雰囲気、グッズのデザインがどう変わるのか、様子を見ていると話した。歌詞が英語だけのK-POPソングが増えるのではないかと懸念するファンもいる。

K-POPが何十億ドルという規模の巨大産業に成長する以前は、レーベルの立ち上げはプロデューサーが個人の資金で行っていた。元フォークシンガーのイ・スマンは、1990年代に約3万8000ドル相当の資金でSMエンターテインメントを創業。YGやJYPなど他の業界大手の始まりも、同様につつましいものだった。

その後の数十年で、各社は投資家を勧誘し、株式を一般に売り出した。やがて、ネット大手のカカオや、そのライバルのネイバーも、海外の顧客にリーチを広げる目的もあって、音楽や動画のベンチャー企業を支援し始めた。

産業化するK-POPに本国ファンの不満

K-POPレーベルの中でも、海外で最も成功している1社がハイブだ。2021年には、ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデをマネジメントするイサカ・ホールディングスを約10億ドルで買収。

さらに今年2月には、アトランタのラップレーベル、クオリティ・コントロール・ミュージックも買収している。こうした買収を通じ、ハイブは売上高を2倍以上に伸ばした。同社の売上高の4分の3は現在、韓国国外からもたらされている。

業界追跡サイト「K-POPレーダー」によると、K-POPリスナー全体の約90%は韓国以外の国に住んでいるという。また、業界が海外のファンを増やそうと躍起になる中、一部のファンからは、K-POPをこれほどの成功に導いた要素はもはや重視されなくなっているという、レーベルに対する不満も聞かれる。

ソウルに住む19歳の学生、キム・スヨンは、「楽しいはずの趣味が、むしろ不安の種になっている。変化がストレスになっている」と話した。

(執筆:John Yoon記者)
(C)2023 The New York Times

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