「K-POPのグローバル化に不満」本国ファンの本音 海外ビジネス追求の企業論理で失われるもの
SMエンターテインメントの経営権獲得は、カカオがK-POPビジネスで足場を固めるのに役立ち、海外進出のチャンスにもなると、韓国芸術総合学校教授のイは話す。カカオは、韓国ブームの波をとらえ、ウェブ漫画、ゲーム、音楽で国際的なビジネスを構築しようとしている。
サウジアラビアとシンガポールの政府系ファンドから10億ドル近くを調達したばかりのカカオは、9億6200万ドルでSMエンターテインメントの株式の35%を買い付ける案を提示した。
ハイブはSMエンターテインメントの動きを「非論理的」と非難し、カカオとの合意を阻止するため裁判所に差し止め命令を求めた。対するSMエンターテインメントは、従業員の給料を15%引き上げてカカオによる株式取得を支持させ、反対派を追放した。
抗争は最終的には、資金力に勝るカカオの勝利に終わった。カカオは3月下旬、SMエンターテインメント株の40%を取得したと発表。SMエンターテインメントの株価は、買収合戦の間に2倍になっていた。カカオの声明によると、アーティストに関する決定は今後もSMエンターテインメントが行うという。
買収合戦で露呈した不都合な真実
ファンにとって今回の駆け引きは、収益を追求する企業の動機がアーティストやサポーターの利益に勝り、グローバルな利益が国内のレコード販売やコンサートよりも優先されることを示すものとなった。
「今回の争いは、K-POPを気持ちよく聴くことができない状況を作り出した」と、前出のDJ、チェは話す。「彼らにとってアーティストは、チェスの駒みたいなものだ」。