「K-POPのグローバル化に不満」本国ファンの本音 海外ビジネス追求の企業論理で失われるもの

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SM所属のアーティストたちのコンサートイベント「SMTOWN」でパフォーマンスをする少女時代(写真:ロイター/アフロ)

韓国・ソウルのナイトクラブでハリム・チェがK-POPの最新ヒット曲をかけると歓声が上がった。だが、集まったパーティー好きの客たちには、2NE1やワンダーガールズなど、10年ほど前の曲のほうが特別に響くようだった。

「昔の曲は、音楽を純粋に楽しむことができた時代、背後にいる企業のことを気にする必要がなかった時代に私たちを連れ戻してくれる」。26歳のDJ、チェはそう言った。

ここ数カ月にわたり大っぴらに繰り広げられてきた大手K-POP企業が絡む激しい企業間抗争は、コアなファンから一般リスナー、アーティスト、業界関係者らの目をくぎ付けにした。

少女時代など多くのアーティストが所属するK-POP界の支柱、SMエンターテインメントの経営権を握ろうと、2つの企業が争ったのである。1社はBTSを輩出したハイブ、もう1社は韓国の大手テック企業カカオだ。

両社とも、SMエンターテインメントの買収を海外ビジネス拡大の好機ととらえていた。

長年にわたり国内で成長を続けてきたK-POPだが、その将来は国外にかかっている。K-POPのファンは世界の至る所にいるとはいえ、同ジャンルの最大手級レーベル各社の売り上げはまだ、世界の音楽市場のごく一部を占めるにすぎない。

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