「賃上げラッシュ」の今、転職するのは正解なのか 「乗らないと損をする」と焦る人へ

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転職サービスを運営するエン・ジャパンが発表した年収の変化に関する調査でも、賃上げに関して企業が意欲的になってきたことが明らかになっています。2017年は転職後の年収が中央値で22万円減っていましたが、2022年は7万円のプラス。転職すると給与が増える。さらに、このタイミングに転職すれば賃上げの特典も享受できる可能性が高い。そんなおいしい話が待っているとなれば転職市場が活性化する可能性があります。

前述のSさんは転職を考えていないようですが、賃上げしない会社に勤務している友人の中には転職活動をしている人がちらほらいる、と話してくれました。

今転職すべきかどうか

確かに、ここで転職しないと給与が大きく上がらないかもしれない。賃上げする会社に勤める人と賃金格差が開くことになると考え、動きたくなる人が出てもおかしくありません。

実際、転職エージェントに話を聞くと、賃上げするような姿勢の会社に応募して、年収をアップさせたい……と切り出す転職希望者も増えてきているといいます。

社員からすれば、賃上げはボーナスのような一時的な報酬ではなく、ベースアップと定期昇給で行われるほうがありがたいもの。その後も安定した収入増につながる可能性が高いからです。

そもそも多くの企業は人件費が固定的に上昇することを嫌う時期が長く続いてきました。2014年春季労使交渉(春闘)から政府が産業界に対し賃上げを求める「官製春闘」が始まったのもそんな流れの中でした。それでも、景気がよくない時期が続きましたので、企業は賃上げの先送りがしやすい状況でもありました。

ところが、コロナ終息のタイミングに向けて、物価上昇が加速。賃上げしないと生活に影響をきたすとの危機意識が政府やメディアで高まり、賃上げせよと大号令となり、企業の重い腰が上がったとも言えます。

賃上げ予定がない企業に勤務しているAさんからも「転職することにした」との連絡がありました。

転職先は5%近い賃上げを予定しており、大幅に給料が上がるとのこと。会社選びはお金だけではないと思っているが、この賃上げトレンドに乗らない会社に残っても、明るい未来が想像できない。逆に賃上げを決めた会社には決断力があり、将来性がある気がする。だから、転職をすることにした……と背景を教えてくれました。

同様の動きは増えていくかもしれません。賃上げしない会社に留まることで生涯賃金では大きな違いになるかもしれない。動かないと損をすると思わせるムードにもなってきているようにも思えます。

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