「賃上げラッシュ」の今、転職するのは正解なのか 「乗らないと損をする」と焦る人へ

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Sさんはパターン2で恵まれた状況にあると言えます。それとは対照的に、世間が騒いでも賃上げはしない企業もあります。こうした格差に不満を抱くようになり、転職を考えることになる人も出てくることでしょう。

Dさんの会社は、賃上げしない派。人事部に聞いたところ、十分な処遇をしているはずだから、賃上げの予定はない……と回答があったそうです。

でも、Dさんからすれば、物価上昇のぶん、生活は厳しくなっている。会社はわかっていないと不満を抱くことになりました。結果として、転職活動を開始することにしました。

Dさんが転職サイトにエントリーすると、威勢のいいスカウトがたくさん送られてきました。当初は転職する意思が低く、興味本位でしたが、自分の市場価値が高いと感じ、心が揺れ動いているそうです。

「売り手市場」の中、賃上げは人集めに有効

現在は転職が〈売り手市場〉になっていると言われます。採用企業より転職希望者のほうが少なく、転職希望者が優位に立っている状況のことで、有効求人倍率が1.0倍を超えているのが目安と言われます。

売り手市場となると、企業は職場環境や処遇の改善を加速させる傾向があります。そうしないと採用できない、離職が増えるリスクがあるからです。

こうした転職市場の状況を鑑みても、賃上げは人材確保という点で、優秀な人材が欲しい企業にとっては今必要な選択と言えるかもしれません。

建築、介護ヘルパー、エンジニアなど求人倍率が4.0倍以上の職種では、差別化を図るために大胆な賃上げを行う会社も出てきています。

日本酒「獺祭」の蔵元である旭酒造は、大卒新入社員の初任給を月額21万円から30万円へ引き上げることを発表しました。さらに5年で平均基本給を2倍にすることを目標に掲げ、プロジェクトをスタートしたことも話題になっています。

製造業の製造職も求人倍率が高く、こうした売り手市場という背景から先んじて賃上げする動きは増しています。

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