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これから「防ぎようのないバブル崩壊」が長く続く 株式市場や不動産の価値は一体どうなるのか

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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そこへ輪をかけて、“普通の”「特別な」バブル投機の影響も受けて、シリコンバレーバンクは破綻した。すなわち、起業バブル、スタートアップバブル、ユニコーンバブルで、シリコンバレーはカネが異常に集まった。

人々は勝手に出資してくれた。スタートアップ企業としては資金調達をいい条件でできるなら、しない手はなかった。しかし、まだ事業は形にならず、実物投資は必要ないから、さらにスタートアップステージに近い企業に出資した。金融投資した。

しかし、彼らも資金が集まりすぎていた。余ったカネは起業家たちの個人資産になった。企業としても個人としても、カネが余った。だから銀行に預金した。

現在の深刻な問題とは何なのか

預金の集まったシリコンバレーバンクは、スタートアップに融資した。しかし、前述のようにカネは余っていたから、融資はいらなくなってきた。しかし、もともとスタートアップへの融資、あるいは買収などのつなぎ資金への融資が中心だったから、利回りは高かった。

その機会がなくなったが、預金は以前よりもはるかに多く集まってきてしまった。1年で倍以上になっていた。スタートアップへの融資ほどには利回りは高くなくても、それなりの運用が必要だった。だから、長期の債券、それなりに利回りのとれる債券で運用した。

シリコンバレーバンク自身は、流動性の確保には最大限注意を払っていた。企業に融資するのではなく、いつでも売れる、しかも国債などの流動性の極めて高い債券で運用していたから、彼らとしては、これ以上ない流動性を確保しながらの運用だったはずだ。

それでも、預金が一気に引き出されれば、取り付けで破綻するのだ。要は、バブルでカネが集まりすぎたのがもう1つの原因だった。したがって、シリコンバレーバンクの破綻は二重の意味でバブルの自然な帰結だった。

しかし、最大の問題は、これはほとんどすべての金融機関に起きている、しかも現在進行形で起きていることなのだ。そして、これがシリコンバレーと同じことであり、同様のリスクを抱えているとわかっていても、どうしようもない、対処のしようがない状況であるというのが、現在の最大の問題なのだ。

当局もわかっているし、金融機関自身もわかっている。しかし、どうしろというのだろうか。廃業して、預金をすべて返却するか。あるいは現金をすべてそのまま保管し、金融機関でありながら金融機能は果たさずに「現金の倉庫」となり、しかし倉庫よりもはるかに高い経費と人件費と規制に縛られ、日々、損失を出していくということだ。

これらができないというなら、シリコンバレーバンクと同じ「がひどい経営」、つまり、普通に国債で資金運用をするしかない。

だから、すべての金融機関が、現在陥っている罠(わな)から逃れることはできない。そして、それを監督し、コントロールしているはずの中央銀行自身が同じ状況なのだ。

日本銀行ほどではないにせよ、世界中の中央銀行がバランスシートを膨らませてきた。その資産は日々毀損している。債券の時価が下がり続けているからだ。すなわち、金融市場全体が日々、資産を失っているのだ。

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【たび重なるツケの先送りが深刻化している】

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