日経平均は反発後、4月以降下落する懸念がある 米欧の金融不安は短期的には収まった可能性
前回の記事「やっぱり日経平均株価の『3万円回復』は難しい」(2月24日配信)でお伝えしたとおり、株式相場は、ここまでは想定どおりの展開になっている。
前回配信時の日経平均株価は2万7453円(終値、以降も断りのない限り同様)だったが、まずは前回の「2023年の日経平均株価予想の要点」をまとめたので、改めて確認してほしい。
為替要因が大きい日経平均株価
結局、どうだったか。日経平均は2月22日の2万7104円を起点に、3月9日の2万8623円まで、10営業日で1519円高(+5.6%)も急上昇した。だが、その後は急落、3月16日にはザラバで2万6632円をつけている。日経平均は私の高値予想の上限である2万8500円程度を3月9日の1日だけ超えたものの、ほぼ想定どおりの展開になっている。
日経平均株価は一時2万8500円を突破した後に急速に下落したが、その最大の理由は為替だ。円安ドル高は、日経平均株価の構成銘柄のなかで比重が高い輸出関連企業の業績にプラスに寄与するため株価上昇要因となる(逆に円高ドル安は株価下落要因)。
具体的に言えば、ドル円相場は1月16日の1ドル=127円台前半から3月8日の137円台後半まで10円強の円安となり、株価上昇の主要因となった。これは市場の予想に反して、日銀が1月の緩和縮小見送りを決定。次期総裁に決まった植田和男氏が金融引き締めを急がないとの見方が広がったことや、アメリカの金融引き締めが長期化するとの観測が浮上したことなどで円安が進んだからだ。
一方、私は誰が新総裁になったとしても4月以降の金融政策変更は避けられず、それが円高(円安一服)要因になると見て、日経平均株価の上値は2万8500円程度とした。結果的に、為替は3月8日の1ドル=137円台後半をつけたが、日経平均株価も翌9日が当面の高値となった。為替は3月20日には1ドル=131円台前半まで円高が進んだ。
直近の円高は米欧の金融不安が大きく影響している。3月10日にはスタートアップ企業向けの融資で知られるアメリカのシリコンバレー・バンク(SVB)が経営破綻。12日には暗号資産関連企業との取引が多いシグネチャー・バンク(SBNY)も破綻。さらに直接の結びつきはないにもかかわらず、15日にはスイスの金融大手クレディ・スイス・グループの経営不安が表面化。欧州を中心に株価は大きく下落した。
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