ということは、今後の世界経済は長期にわたる大停滞となるだろう。
リーマンショック後に議論になった長期停滞論は、今のインフレ騒ぎで忘れられているような形になっているが、実はこの長期停滞はずっと続いているのであり、それをごまかすために行われた量的緩和により、同時にインフレも恒常化しつつある。つまり、今後は長期にわたるスタグフレーション(不況下のインフレ)となるだろう。
そうなれば、もちろん株式市場は冬の時代となる。1970年代のように「株は死んだ」と言われるような状況になるだろう。もちろん不動産も同じだ。不動産は株よりもさらにひどいかもしれない。なぜなら、株は死んでも、技術革新は起き続けるが、不動産の効率的な活用が進んでいるわけではないから、不動産は単純なバブルであり、それが長期にわたり、ゆっくりと崩壊し続け、停滞を続けるだろう。
「防ぎようのないバブル崩壊」がゆっくり長く続く
今後は、シリコンバレーバンク破綻と同じことが、すべての金融機関で部分的に起こり続ける。多くの債券を保有している日本の金融機関もだ。
当局は金融機関を破綻させないように全力を尽くすが、それでも破綻する金融機関が1つ、また1つと現れ続けるだろう。ファンドなどの運用主体は、それよりも激しく破綻するところが少しずつ出続けるだろう。
これはクレディ・スイスと同じような現象として起こるだろう。しかし、金融機関でないなら、救済はいっさいされず、保有資産の投げ売りが起き、リスク資産市場全体は下落と小康状態を繰り返すだろう。このような動きは、世界中で、今後1つずつ起こり続けるだろう。
金融市場全体、経済全体、世界中が大きなバブルに包まれており、そこでは誰も極端にリスクも取らず、悪いこともしていない。だが、銀行の規制をリーマンショック後、強化していたとしても、防ぎようのない必然的なバブル崩壊が今起きている。これがゆっくり崩壊し続ける。
リーマンショックのような短期のシステミックリスクはない。暴落もない。パニックもない。しかし、バブルは崩壊していく。だから、もう打つ手もない。近代資本主義は、まだ終わらないだろうが、そのカリカチュア(戯画)をわれわれに先に見せてくれているのが今だ、と考えればよいだろう。
(本編はここで終了です。次ページは、競馬好きの筆者が競馬論や週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)
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