《プロに聞く!人事労務Q&A》地震や津波で死亡・負傷した労働者は労災給付の対象となりますか?

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《プロに聞く!人事労務Q&A》地震や津波で死亡・負傷した労働者は労災給付の対象となりますか?

 

回答者:雇用システム研究所 白石多賀子

質問

 3月11日の東北地方を襲った地震で、当社の仙台支店でも甚大な被害を受けました。
大変残念なことにOA機器のメンテナンスに向かっていた社員が津波にのみ込まれ死亡し、支店内でもロッカーが倒れ数名がケガをしました。また、パートタイマーも帰宅途中にケガをしました。今回の地震による死亡・ケガなどは労災保険から給付を受けられるでしょうか?(OA機器販売会社:労務担当)

回答

東北地方太平洋沖地震により被災されました皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

東北地方太平洋沖地震により、多くの労働者とご家族の方々が被災されました。 地震が発生した3月11日午後2時46分ごろは、ちょうど勤務時間帯で業務遂行中に被災を受けた労働者が多くいらっしゃいます。

今回の地震や津波で死亡・負傷などをされた労働者は労災保険給付の対象となります。

厚生労働省の「東北地方太平洋沖地震に係る業務上外の判断等について」や「東北地方太平洋沖地震と労災保険Q&A」をもとにお答えします。

■業務上外の考え方

○業務災害
業務遂行中に、地震や津波により建物が倒壊したこと等が原因で被災した場合は、作業方法や作業環境、事業場施設の状況などの危険環境下の業務に伴う危険が現実化したものとして業務災害となります。

○通勤災害
業務災害と同様に、通勤途上で津波や建物の倒壊等により被災した場合は、通勤に通常伴う危険が現実化したものとして通勤災害となります。

■通勤途上の被災

次の通勤途上のケガ(死亡)は、労災保険が適用されます。

○自宅が被災したため、避難所で生活をしているときは、避難所が「住居」となり通勤災害が認められます。
○帰宅途上で津波警報が出たため避難することは、通勤に通常伴う行為ですので、通勤災害と認められます。
○電車が復旧しないため、会社へ届け出をしていない、又は承認を受けていないオートバイ等で通勤した場合は、合理的な経路・方法の通勤であれば通勤災害と認められます。
○地震で電車が止まり、歩いて家に帰らざるを得ない状況であれば通勤災害と認められます。ただし、帰宅途中で逸脱や中断をした場合は通勤ではなくなります。

 

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