「出遅れ就活生」が効率よく巻き返す方法は? まだ「就活サラブレッド」に太刀打ちできる
でも、たとえば10人ほど有意義なOB訪問が出来たとすればどうでしょう。その10人は偵察隊としてあなたより数年分先に派遣され、貴重な現地レポートを送ってくれたようなものです。もちろん価値観はそれぞれだから誰か一人をそっくりそのまま真似ろというわけではありませんが、おぼろげながら展望は見えてきたはずです。その中で自分はこうしたい、あれに興味がある、といった指針が見えてくれば合格でしょう。
ちなみに、筆者自身が「3月まで何もしてこなかった3年生」だとすると、以下のように動きます。まず、自分が専門性を身に着けて飯を食う専門職タイプか、それとも組織と共に成長するタイプか知るために、中堅以上の企業のOBと、出来るだけ若い新興企業のOBを何人か訪問します。
そこで、まあ今と同様に事務系の専門職が合っていると感じたとします。それからはグローバルで成長余地のありそうな中堅以上の企業を中心にOB訪問を絞ります。話を聞くうちになんとなく管理部門系、そして30代前半で一通りの専門性を身に着けるキャリアデザインが自分に合っているなという答えを見つけるでしょう。もちろん希望職種ピッタリのOBはなかなか見つからないでしょうから、最初に会ったOBに頼んで紹介してもらったりして頑張ります。
就活サラブレッドの弱点
併せて、今からでもエントリー可能なインターンで、実際の経験を肉付けしておきます。筆者は学生時代「同じ時間バイトをするなら出来るだけ幅広く経験しておこう」という考えのもと、ファミレス夜勤からIT系ベンチャーまでいろいろバイトしましたけど、あれはいい経験になりましたね(まあその話は長くなるのでまたの機会に)。
もちろん、選考のテーブルに乗るには企業の形成する母集団に入らないといけないので、企業セミナーや説明会、リクルーターとの接触もマメにこなさないといけません。想像してみると結構ハードスケジュールだと思いますね。ただ、やみくもに数十社もエントリーしてまわるよりは、ずっと少ない手間で、より自分の満足度の高い内定が得られる自信はありますね。
最後に、早期から自身のキャリアデザインをみすえた学生生活を送り、3月時点である程度絞った活動をスタートさせている人たちについてもフォローしておきましょう。筆者はそういう人たちのことを就活サラブレッドと呼んでいます。
数字だけ見ると確実に売り手市場なわけですが、実際には就職戦線は10年ほど前からずっと二極化し続けています。たとえばピンポイントで大手企業3社回って3社から内定をもらえる学生がいる一方で、100社エントリーしても内定ゼロという学生もいるわけです。内定が集中する学生というのはほとんどの場合、早期にキャリアデザインを終えている就活サラブレッドです。
ただ、そういう人にも弱点はあります。それは、彼らの中には、全体のマップを持っていない人が意外に多いということです。
先に筆者は、複数のOBを偵察隊がわりにして社会人のキャリアの俯瞰図を持てと述べました。地味な仕事にショックを受けつつ、その積み重ねに真価を見出して日々精進する企業人、早々に見切りをつけ3年で外資や新興企業に転職する人、組織内で働きつつ組織に依存しない専門性を身に着ける人。もちろん、やりがいや達成感も業種ごとに異なります。
そういう全体のマップをある程度踏まえた上で「自分は〇〇の仕事で、〇〇な具合にキャリアを伸ばしていきたい」と答えを出した人と、全体のマップを持たぬままそうした答えを出した人では、一見同じ答えに見えても、その後の社会人生活でぜんぜん異なるリアクションが出たりする。要するに、何かのきっかけで「自分の天職は〇〇だ」と思い込んでいただけなんですね。
だから、就活サラブレッドの中には、意外に3年内に早期離職するタイプが多いように見えます。もし本メルマガを読んでいる人の中に、早くからキャリアデザインを終え、準備万端、これからいよいよ就活をスタートさせようと考えている人がいれば、もちろんそれはそれで結構ですが、若干は幅を広めて就活してみると、新たな気付きがあるかもしれません。
「やっぱりこういう仕事は自分には全然合わないや」というのもまた価値ある気付きなわけで、無駄というわけではないのです。
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