「出遅れ就活生」が効率よく巻き返す方法は? まだ「就活サラブレッド」に太刀打ちできる

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たとえば1990年代前半までは、六大学以上の体育会系だったらたとえ成績が落第寸前でも「はい!なんでもやります」と元気よく答えておくだけで、たいていの上場企業には内定がもらえたものです。

筆者の先輩にボート部で3留して面接で「はい!わかりました!」しか言わなかった人がいましたけど、普通に商社受かってましたね。たぶん地頭的に悪くないにもかかわらず7年間なんの疑問も抱かずにボート漕いでたMっ気が入社後も大いに役立つと評価されたんでしょう。

とはいえ、いまどきそんなノリで内定がもらえる会社はほとんどないでしょう。応募者はエントリーシートや面接で繰り返し自らのキャリアデザインとそのためにしてきた自己投資を述べねばなりません。そう、日本社会全体が緩やかに、何でもやる根性重視の身分制度型から、特定の職種に絞ったスペシャリスト型に移行しつつあるわけです。いわゆる「意識が高い人たち」というのはそういう波になんとか乗ろうとしている人たちなわけです。

コアな「動機」を持っているか

では、3月時点で、そうした波にぜんぜん乗れてないよという人たちはもう手遅れなんでしょうか? 「いやあ、今までバイトとゲームとサークルしかやってこなくて、いきなり就活やれって言われて困ってるんです」という人は、トロール網よろしく100社以上エントリーしまくってなんとか引っかかってくれた会社に「何でもやります、いや、やらせてください」と頭を下げるしかないんでしょうか?

いえいえ、勝負はこれからです。先に、社会は緩やかに脱・身分制度型に舵を切っていると書きましたが、現場レベルではまだまだ変化に追いついておらず、実際は90年代とほとんど変わらない人材育成方式だったりする企業が珍しくありません。その育成プロセスを理解すれば、打つべき手は見えてくるはず。

従来型の育成スタイルでは、本人のなんとなくレベルの配属希望と人事部の判断を組み合わせてとりあえず大まかな配属を行います。なので、最初の3年間は割と流動的で、本人がどうしても納得しない、あるいは使ってみたけど適性が無いと事業部側で判断したような場合は異動、つまり実質的な再配属なんてこともありますね。

その後は、職場内で上から仕事を与えて少しずつ育成、30歳までに、組織の必要とするスキルを持った企業戦士に育て上げることになります。と書くと当たり前の話にも見えますが、実は、この過程ではもう一つ、スキル以外にも重要なモノを育て上げています。

それは“動機”です。自分は今のこの仕事で飯を食っていくんだというプロフェショナルとしての動機。それから、自分は今の業務にもっと習熟して上を目指したいという上昇の動機、あるいはその経験を活かして組織全体や社会を変えていきたいという改革者の動機。そうしたアグレッシブで前向きな動機は、新人の頃にはまったく見られなかったもの。それを最初の数年間で芽吹かせることが、日本型OJTのもう一つの狙いだったりします。

つきつめれば、職を重視するスペシャリスト型採用も何でもやる身分制度型採用も、目指すゴールは同じと言えるでしょう。「〇〇の仕事で頑張りたい」というコアな動機を入社前に持っているか、入社後にある程度幅広く経験させつつ、本人の適性と会社の都合を上手くすり合わせて与えるかの違いですね。

次ページすると、これからやるべきは?
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