心理的安全性を下げる「ダブルバインド」の正体 「明確な構造」がない職場に生じる落とし穴

構造が明確な職場では、お互いに意見を言い合いながら安心して働くことができるでしょう(写真:ふじよ/PIXTA)
Googleが行った生産性の高いチームの共通点を見つける調査で、その最重要項目であると示された心理的安全性。どの企業もマネジャーも、これを高めようと努力しているが、ある1つの基本的なことが欠けていると、他のどんな努力もムダに終わるだろう。それは「明確な構造」の有無だ。元Googleの人材開発責任者でもあるピョートル・フェリクス・グジバチ氏の最新刊『心理的安全性 最強の教科書』から、心理的安全性を高めるために必要な「明確な構造」について解説する。
心理的安全性は、「対人関係においてリスクのある行動を取っても、『このチームなら馬鹿にされたり罰せられたりしない』と信じられる状態」 を意味します。これに加えて僕なりの定義を紹介すると、「メンバーがネガティブなプレッシャーを受けずに自分らしくいられる状態」「お互いに高め合える関係を持って、建設的な意見の対立が奨励されること」 です。
とはいえ「さあ皆さん、建設的な意見の対立でもってチームの心理的安全性を高めてください」と言うだけでは何も始まりません。
それを実現するためには、何が必要でしょうか。職場がどうなっていれば、これが可能となるでしょうか。
僕は2つの要素が職場に不可欠だと考えます。
それは「構造」と「対話」です。この2つが揃うことではじめて、組織のメンバー間での互いに建設的な意見の対立が可能になります。本稿ではそのうちの1つ「構造」についてご説明しましょう。
構造が明確な職場では安心して働ける
「構造」とは、次のようなものを指します。
・ビジョン、ミッション(事業の意味・意義)
・チームが目指す目標
・評価の基準
・仕事の役割分担、ゴール、職務で求められるプロセス
これらが言語化されて明示されていれば、「構造が明確である」と言うことができます。構造が明確な職場では、お互いに意見を言い合いながら安心して働くことができるでしょう。
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