心理的安全性を下げる「ダブルバインド」の正体 「明確な構造」がない職場に生じる落とし穴
社員の配置や異動にも、構造は関係します。
たとえば、ITリテラシーの優れた新入社員がいて、その能力を活かせる仕事が社内にあるとします。そして、本人がその部署への配属を希望しているにもかかわらず、「まだ若いから」などと曖昧な理由でいつまでたっても雑用ばかり任されるのであれば、その職場の仕事の割り振りに明確な構造がないと言えそうです。
「社員を優遇すること=心理的安全性」ではない
誤解してほしくないのですが、新人を希望の部署に異動させることが職場の心理的安全性を高めるうえでの取るべき手段だと言いたいわけではありません。大事なことは、構造を明確にすることです。
仮に、その職場では年次で仕事の割り振りを決めているとしましょう。そのこと自体は、ここでは問題ではないのです。重要なのは、就活のレクチャーや採用時の面接で「新入社員は一律に雑用からやってもらいます」とハッキリ伝えておいたり、会社案内に明記しておいたりすることです。それが嫌な人はその会社を選ばずにすみます。「構造が明確である」とはそういうことなのです。
たとえばお子さんに、「土曜日は家族でお出かけする日です」「お出かけのときはこういう洋服を着て、こんなふうに振る舞うのよ」と外出時のルールが決められている家庭では、子どもはそれに従って迷いなく行動できます。それと同じですよね。
構造が明確であれば、その中でどう振る舞えばいいかわかるので、上司の顔色をうかがったり忖度したりせずに、やるべきことがやれるし、言うべきことが言えます。そしてもし、間違って行動した場合でも、「あなたの行動はここが間違っていますよ」と基準やルールに沿ってフィードバックが得られるので、納得感があります。
心理的安全性を保つには、こうした明確な構造が不可欠なのです。
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