天才と凡人を分けるのは「好奇心の有無」だった うまくいくまで、うまくいっているふりをせよ
複数の企業で試行回数を重ねたCEOは、特定の業界にとどまったCEOよりも多彩な経験を積みやすく、それゆえに自然とバラエティに富んだスキルや知識が身につきます。自分の得意と不得意への理解も深まり、持ち前の才能を活かしやすくなるのも大きなポイントです。
また、南カリフォルニア大学が行った調査でも、内部昇進より外部採用のCEOのほうが成績が良いと報告されており、特定の分野だけで試行回数を重ねることのリスクに警笛を鳴らしています。
独創的なことをすべきだ。群れを追ってはいけない
このように、多様性の豊かな行動によって大きな成功を収めたのが、ヘッジファンドで1兆円超の資産を得たジェームズ・H・シモンズです。
幼いころから数学が好きだったシモンズは、NSAで暗号解読の仕事に尽力後、大学で教鞭をとりはじめたところ、資産運用に興味が向かい、「ルネッサンス・テクノロジーズ」なるヘッジファンドの設立を決めます。
ビジネス経験がゼロのまま起業を進めた彼に対し、周囲はみな失敗を予想しました。
しかし、シモンズはここから意外な行動に出ます。
普通ならば専門のアナリストやエコノミストを雇って運用を始めるところを、物理学者、信号処理の専門家、天文学者、言語学者といった多彩な科学者を雇い入れたうえに、そこへ自分のキャリアで学んだ数学とコンピュータの技術を組み合わせ、オリジナルの運用モデルを作り上げたのです。
当然、そんな素人の運用モデルなど無用の長物だと誰もが思いましたが、現実はシモンズに大きな勝利をもたらします。ファンドの資産額は17年で6600万ドルから100億ドルにまで成長し、年間リターンの平均が39%という驚異的な数字を叩き出しました。
自身の成功を、シモンズはこう説明します。
「独創的なことをすべきだ。群れを追ってはいけない。そして、最大の指針は『幸運を願う』こと。それが一番大切だ」
これほどまでに飛び抜けた独創性は、シモンズが多様性のある行動を積まなかったら生まれなかったでしょう。
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