天才と凡人を分けるのは「好奇心の有無」だった うまくいくまで、うまくいっているふりをせよ

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ミッションを着実にこなした参加者ほど性格テストの結果が変わり、実際に本人が望んだキャラクターに変わったのです。

つまり、天才たちに共通する“好奇心”は、いまあなたが持っていなくても、インストールすることが可能なのです。

「成功した天才」と「不運の天才」の違いとは?

本稿で紹介してきた天才たちは、好奇心をもとに、歴史に名を残す偉業を成し遂げた成功者として我々の記憶に刻まれています。

『運の方程式 チャンスを引き寄せ結果に結びつける科学的な方法』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ですが、天才だからといって、必ず成功しているわけではありません。歴史を振り返れば、誰もが認める実力を持ちながらも、不運のせいで栄光を逃した天才のエピソードには事欠きません。

グラハム・ベルにわずか2時間遅れで特許を申請し、電話の発明者としての称号をつかみそこねたイライシャ・グレイ。

世界最高レベルの研究を行ったにもかかわらず、フランス科学アカデミーが論文の提出を忘れたせいで、誰にも業績を知られずに病死した数学者ニールス・アーベル。

いずれも世界レベルの才能に恵まれたにもかかわらず、偶然のいたずらで栄光をつかみそこねた天才ばかりです。

では、「不運の天才」のように成功を逃さないためには、さらに何が必要なのでしょうか。

じつはありがたいことに、近年では“運”を科学の視点から見た研究が進み、良い偶然を引き寄せ、成功を手にできる確率を上げる方法がわかってきました。

もちろん、占いやスピリチュアルのたぐいではありません。ここ数十年、ハートフォードシャー大学の心理学部、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの社会学部といった一流の研究チームが「運をつかむ方法」の科学的な調査に取り組み、一定の成果をあげています。

世界有数の学術機関であるプリンストン高等研究所などは、内部に「ラックラボ」なる専門の調査機関まで創設したほどで、いかに“運”の研究が注目を集めているかがおわかりいただけるでしょう。

そこでわかったこととは?

成功という幸運をつかむためには、好奇心を呼び水に4つのスキル「試行量」「多彩な経験」「察知力」「回復力」を高めなければならない、ということでした。

天才たちが残してきた業績や成果だけに目を向けすぎず、運をつかむために必要な力を伸ばし、人生という“運ゲー”を攻略していってくださることを心から願っています。

鈴木 祐 サイエンスライター

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すずき ゆう / Yu Suzuki

1976年生まれ、慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ねながら、現在はヘルスケアや生産性向上をテーマとした書籍や雑誌の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。近年はヘルスケア企業などを中心に、科学的なエビデンスの見分け方などを伝える講演なども行っている。著書に『最高の体調』(クロスメディア・パブリッシング)、『ヤバい集中力』(SBクリエイティブ)他多数。

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