スウェーデンの天才が語る「スマホ」真のヤバさ ポケットに入っているだけで集中力がそがれる
リモート会議に参加しながら、取引先にメールを書き、その間に画面上に届く社内SNSの新着通知にも目を配る……。現代のビジネスパーソンにとって、同時に複数の業務を処理していくマルチタスクは仕事の生産性が高まる理想の働き方のように思える。
しかし、スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン氏によれば、人間の脳は本来的に1つのことにしか集中することができず、マルチタスクに向いていない。複数の作業を同時にこなしていると思っていても、実際にやっていることは作業の間を行ったり来たりしているだけだという。
ハンセン氏は、ノーベル賞選定で知られる名門カロリンスカ医科大学を卒業後、ストックホルム商科大学にて経営学修士(MBA)を取得したという異色の経歴の持ち主。脳科学的見地から、最新作『スマホ脳』では、スマホの存在が現代人の集中力を著しく損なっていることに警鐘を鳴らしている。本稿では同書より、マルチタスクをめぐる論考を抜粋してご紹介する。
複数のことを同時にやろうとしていないか
ここ数年、複数のことを同時にやろうとしている自分に気づいたことはないだろうか。それはあなただけじゃない。私など、集中して映画を観るのも難しい。気づくとスマホに手を伸ばしているのだ。新しいメールは来ていないだろうか? 映画のストーリーを追いながら、スマホをだらだらとスクロールしてしまう。
現代のデジタルライフでは、私たちは複数のことを同時にしようとしがちだ。つまりマルチタスクだ。スタンフォード大学の研究者がこんな研究を行った。マルチタスクが得意な人が、思考力を問われる課題にどれほど秀でているかを調べる研究だ。
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