ところが、としこは、「これ、疲れを癒すアロマオイルなんですよ。体に塗ってマッサージしてもいいし、布に染み込ませて枕元においても、ぐっすり眠れるんです」と、お土産を手渡してくれた。そして、その日の食事代も、半額弱のお金を「これ、私の分です」と千円札で手渡してきた。
のぶやは、私に言った。
「長い結婚生活を一緒に送るなら、としこさんだなって。相手を思いやる気持ちを持っている。それに、経済観念もしっかりしている。結婚しても、家計も安心して任せられると思ったんです」
恋愛市場では、女性の若さと美貌は最強の武器だ。合コンや飲み会の席に、巻き髪をふんわりと揺らせ、マツエクでぱっちりとさせた目元を作り、発色のいいリップでぷっくりとした唇を作り、体のラインがわかるような服を着て現れる。
そうした女性は確かに男性の目を引くし、人気者になる。男性も「ごちそうしたら、こちらになびいてくるかもしれない」「お金を使って気前のいいところを見せたら、一晩お付き合いしてくれるかもしれない」と考えるだろう。
そして、そうした女性たちは、平然と言う。
「可愛いって言ってほしくて、男性のためにオシャレをしているの。それに金がかかるのだから、デート代は男性が支払って当然でしょ」
ただその考えは20代で通用しても、30代、40代と歳を重ねたときに、それをそのままシフトさせていると、“イタいおばさん”として周りに映るだけだ。
さらに、自分を着飾ることにお金と時間をかける女性を、生涯の伴侶に選ぼうとする男性は少ない。莫大な財産や経済力のある男性が、親子、孫ほど歳の離れた若い女性を妻に娶る場合は話が別だが、普通に仕事をし、一般的な収入を得ている男性にとって、結婚は日常の生活なのだ。「4000円のリップスティックを買う金があるなら、夕食のおかずを豪華にしてくれ」と思うのではないか。
男性も女性の稼ぎを当てにしている
コロナになってから、20代、30代だけでなく、40代~60代の婚活者も増えた。行動に制限がかかり自由に人に会えず、孤独を感じた独身者たちが、側に寄り添うパートナーを探したいと思ったからだろう。
最近の婚活状況を見てみると、年代を問わず正社員、公務員、団体職員、看護師などの、自立していてしっかりと収入のある女性たちの人気が高い。
先行きが不安定な世の中だ。男性たちも自分の経済状況に自信が持てなくなってきている。できることなら、一緒に暮らす女性の収入も当てにしたいと思っている。
また、最近の男性たちの傾向として、「家事はサポートではなく、分担します」とプロフィールに記載している人が多い。女性も仕事をして、収入を得てくれる人を望んでいるからだ。
「デート代や食事代を払える男性が格好いい」という考え方は、一部の女性たちの中に根強く残っているのだが、婚活市場では、その考え方は確実に変わりつつある。そして、“デート代や食事代を全額男性に払ってほしいと”思っている女性は、結婚相手には選ばれにくいというのを覚えておいてほしい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら